またしても、湊かなえ作品の実写化が発表されました。

 中村義洋監督が映画化するのは、『白ゆき姫殺人事件』。美女OLが惨殺された不可解な事件を巡る物語で、一人の女性に疑惑の目が集まります。テレビのワイドショー取材が同僚、同級生、家族など、関係者の証言を伝えることで、噂が噂を増幅し、事件は迷宮入りに。犯人扱いをされる女性役を井上真央が、ワイドショーのディレクター役を綾野剛がそれぞれ演じることが発表され、さらに注目を集めています。

 同作をはじめ、『告白』『北のカナリアたち』など、多くの作品が実写化され、そのファンも多い湊氏。そんな彼女の作品『望郷』が初めて直木賞候補作に選出されました。

 『望郷』は、瀬戸内に浮かぶ白綱島を舞台に、島に生まれ育った人々が織りなす、心の奥底を揺さぶる連作短篇集。日本推理作家協会賞(短編部門)を受賞した「海の星」も収録されています。「海の星」は洋平の家族と"おっさん"の物語です。

 主人公の洋平が小学6年生の頃に突如失踪した父親。洋平と母親は毎日歩いて父親を探していました。そんな洋平の前に突如現れたのは、魚やお菓子をくれるダミ声のおっさん・真野幸作。おっさんは2週間に1度、洋平の家を訪れるようになり、親切にしてくれました。しかし、洋平は母親目当ての下心丸出しのおっさんとして、警戒するようになります。

 父親が失踪してからまる三年が経った頃。洋平が中学三年の秋、いつものようにやってきたおっさんは、背広姿で白いユリの花束を持っていました。そこで、母親と改めて真剣な話をしたおっさんでしたが、この日を境に、洋平宅を訪れなくなるのでした。

 その後、洋平は高校を卒業すると、東京に出て結婚。そんな洋平の元に、おっさんの娘・真野美咲から、「上京するからあって欲しい」というハガキが届きました。そこで知らされた、おっさんと父親との真実とは。

 北村薫氏が「群を抜いていた。鮮やかな逆転、周到な伏線、ほとんど名人の技であり」と評価した「海の星」。その他の収録作品も、どれも物語に引き込まれる秀逸なものばかり。初の直木賞受賞への、期待が膨らむ一冊です。



『望郷』
 著者:湊 かなえ
 出版社:文藝春秋
 >>元の記事を見る



■ 関連記事
"麻雀プロ"出身SF作家 「ロボット」がテーマの直木賞候補作
芥川賞・直木賞発表会見 ニコニコ生放送での生中継が決定
地方の閉塞感を描く直木賞作家・辻村深月さんが挑む「眩しい故郷」の物語


■配信元
WEB本の雑誌