[其ノ一 株ファンダ編]突然の暴落で…見直すべき銘柄の実力
暴落時こそ、売る株と買う株を見極めるチャンスと心得よ!EPSとPERを駆使して銘柄の?真の実力〞を見極めることが大事。


銘柄の実態を冷静に見極めれば投資の成果はまだ出る!

「セル・イン・メイ(Sell inMay)よ、さようなら」―そんなムードにあった?上がる日本株〞に衝撃が走りました。ご存じの通り、5月23日に日経平均株価が前日比1143円安の大暴落。しかもこれといった理由はなく、「過熱感があったから」といった曖昧な解釈ばかりでした。

この急落の直接的な原因は、某外資系証券からの「日経平均先物売り」でした。「債券先物売り・株式先物買い」のポジションが大量に積み上がってきたところで「アンワインド(巻き戻し)」が起き、先物の変調が高速取引を巻き込み、個人投資家のストップロスをも巻き込んで……。株が急激に下がると、リスクオフの空気が生まれます。そうなると為替市場で円高が進み、結果的にそれが株安につながる?負の連鎖〞となりました。異次元の世界で上げてきた日本株は下げるときも異次元。実態にそぐわない相場ではこれといった理由がなくても強烈な調整が起こる。この現実を目の当たりにしたわけです。

今は、実態(=ファンダメンタルズ)と株価のバランスに目を向けるという基本に立ち返る必要に迫られています。?実態〞という意味では、日本企業の多くが5月に3月期決算を発表しましたが、今期は円安の追い風などで日経平均の予想EPS(1株当たり利益)が約900円になるようです。通期見通しが出る前、前期ベースのEPSは590円台でしたので実に5割増益!

EPSの拡大でいえば、これまでの株高の説明がつかないわけではありませんでした。これからは、EPSをベースに実態に即した個別株を探す必要があります。たとえば「株価は上がってるけど、PER(株価収益率=株価÷EPS)が低い」といった目線は有効です。

お手本となる銘柄は富士重工業。5月8日前期の決算発表でしたが、今期予想の営業利益は1800億円、市場予想の2200億円前後を下回りました。それなのに決算発表後、株価はなんと10連騰!



これは想定為替レートが1ドル=90円と慎重だったことが理由のひとつです。同社は、1円の円安が75億円の営業増益要因。このまま1ドル=100円程度が持続すれば、営業利益で750億円分が押し上げられ、「1800億円+750億円=2550億円」となる計算。営業利益2550億円を使って試算し直すとEPSは200円超、決算発表直後の株価は1900円程度なので、予想PERは10倍以下になります。「あっ、まだ割安だから買い」と市場は判断したのでしょう。

この動きからいえるのが、EPS(=利益)の伸びに、株価上昇が追いついていない銘柄があるということ。そして、そういった銘柄はこれまで存分に買われながら、さらにその高値からガンガン外国人投資家が買っているということです。

こういった銘柄であれば、暴落しても「そのまま持っておいても大丈夫だろう」「安くなったから買ってみよう」そんなインセンティブが働きます。冷静になり、個別株の?実力〞を点検していけばまだまだ成果は上がるはずです。





【今月のファンダ師匠】
岡村友哉(YUYA OKAMURA)
金融ジャーナリスト

証券会社の営業、金融情報ベンダーでアナリストを務めた後、現職。日経CNBCでキャスターをこなす。



この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。