メガバンクは7月の住宅ローン金利を小幅ながら引き上げた。三菱東京UFJ銀行の場合、住宅ローンの主力商品である10年固定型を、6月の1.6%から1.7%へと0.1%引き上げている。みずほ銀行は、1.60%から1.65%へと0.05%の引き上げにとどめた。いずれも3か月連続の引き上げ。なお、変動金利型は1.275%と据え置いている。

 10年固定型の金利は、10年物国債の金利水準をベースに決定される。7月の住宅ローン金利は6月の金利がベースとなるが、月末値を比較すると、実は6月末は5月末より小幅低下している。10年物国債の5月末の金利は0.860%。6月末は0.855%なので、わずかに0.005%低下したことになる。しかし、メガバンクは10年固定型の金利を引き上げた。

 これはどういうことかというと、住宅ローンは月末値だけがベースとなるわけではなく、月間の平均値である「月中平均」もベースになるため。6月は、10年物国債は0.8%台で推移し、5月よりも小幅に上昇したため、それが7月の住宅ローン金利に反映された格好だ。

 また、米国の金利が上昇していることも影響を与えていると想定される。米国と日本の長期金利は中長期的には連動することが知られている。米国の10年物金利は、5月末は2.1%台前半だったが、6月末には2.4%台後半まで0.3%も上昇している。米国景気の回復が早まるとの見方が金融市場で強まったためだが、1か月で0.3〜0.4%上昇するというのは、「急上昇」といえる水準だ。米国金利の動向なども勘案して、メガバンクは引き上げに踏み切ったと見られる。

■メガバンクとは異なる動きを見せるネット銀行

 一方、ネット銀行は、メガバンクとは異なる動きを見せている。10年固定型の金利を7月は引き下げているのである。例えば、ソニー銀行は、6月の1.692%から7月は1.64%へ0.052%引き下げた。住信SBI銀行は、6月1.53%から7月1.43%と、0.1%の引き下げを行なっている。いずれも小幅ではあるが、メガバンクとは0.1〜0.2%の差が付くことになるため、無視できない。

 また、ネット銀行ではないが、イオン銀行は10年固定型を1.25%と据え置いている。5月、6月も据え置いているため、3か月連続の引き上げを行なっているメガバンクとは好対照をなしている。その結果、優遇幅や各種手数料の違いはあるものの、10年固定型の1.25%はかなり魅力的な水準になっているといえよう(注:残念ながら10年固定型1.25%は7月9日までのキャンペーン金利)。

 現在、ネット銀行などは、いまが顧客獲得のチャンスと、住宅ローンで「勝負にきている」と思われる。そして、こうした住宅ローン金利に関する各行の対応の違いは、これからも折に触れて散見されるだろう。長期金利の不安定な動きが続いているからだ。7月5日時点で、米国金利は2.7%台に上昇してきた。当面、日本の長期金利は落ち着きどころを探って、乱高下をする可能性が高い。ぜひ、各行の金利をマメにチェックして、少しでもお得な住宅ローンを購入して欲しい。

(文/松岡賢治)

マネーライター、ファイナンシャルプランナー/シンクタンク、証券会社のリサーチ部門(債券)を経て、96年に独立。最新刊に『人生を楽しむマネー術』(共編著)。