経済アナリスト・森永卓郎氏は、「アベノミクスの成長戦略の本質は、規制緩和・市場原理を徹底して、日本をアメリカのような弱肉強食社会へ向かわせる」と分析している。そうしたなか、今後の株式投資でポイントとなることは何か。以下、森永氏が解説する。

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 アベノミクスの本質が市場原理主義の徹底であるからには、それが進展すればするほど儲かる企業はどこかということが、今後の株式投資のポイントになるのは間違いありません。

 たとえば、同じ電機業界でも、シャープやパナソニック、ソニーが大赤字を出した時期でも、日立製作所や東芝、三菱電機などは利益をきっちり出している。命運が分かれた理由は、主力事業が家電か重電かの違いです。家電はグローバルな完全競争市場。「完全競争の下では利益はゼロになる」と経済の教科書に書いてある通りのことが起こっている。

 一方、重電は政府からの発注があるなど、それほど激しい競争に晒されていないで利益が確保できている。実は、逆説的ではあるが、市場原理主義が進めば進むほど、弱肉強食化に巻き込まれない企業が儲かる仕組みになっているのです。

 具体的にどこかといえば、すぐに思いつくのは、政府が進めようとしている政策に合致した事業を手がけている企業。国策に乗っかった企業ほど、今後ますます業績を伸ばしていく可能性が高い。たとえば、政治への影響力を持つ大手財閥系企業などの注目度は高まりそうです。

 7月の参院選では自民党の大勝が予想されます。それが現実になれば、その後3年間、安倍首相は国民に信を問う国政選挙を行なう必要がなくなり、怖いものなしで、必ずや原発再稼働に踏み切ると見ます。それを見込んで、原発関連銘柄を仕込んでおく考えもあるでしょう。株価上昇に完全に取り残されている電力業界は、原発再稼働となれば収益が一気に改善するので、株価上昇期待も大きい。

 もう一つ、参院選に大勝すれば、安倍首相は日本維新の会と組むなどして憲法改正のハードルを下げる憲法96条を改正した上で、9条改正に踏み切り、国防軍創設を目指す可能性が高い。数年でやり遂げるのは難しいと思いますが、それが現実味を帯びてくれば、株式市場でも防衛産業に大きな光が当たってくるはずです。

 アベノミクスの成長戦略で、日本は格差社会から超格差社会に向かっていくのは間違いありません。その防衛策はただ一つ。金持ちの儲ける手口に乗って、ボーナスで株を買って小金持ちを目指すことです。

※マネーポスト2013年夏号