日本三大祭りの一つともされる京都の祇園祭。そのクライマックス「宵山」が14日(日)から始まる。猛暑のなか、本格的な夏祭りの季節の到来だ。祭りを彩るファッションと言えば浴衣。最近は、涼しくシワになりにくい新素材や、上・下セパレーツ型など、着やすさに配慮した浴衣が登場。手ごろな価格で一式揃う“セット販売”も広がり、祭りの日に限らず、夏の定番として、浴衣を楽しむ人が増えている。

「今年は、カラフルな色が売れています。洋服も、カラーパンツなどが人気。景気が良くなると明るい色が流行ると言われますが、それは浴衣にも当てはまるのかもしれません」

 こう語るのは、都内大手百貨店の店員。先月オープンした浴衣特設売り場の売り上げは好調だという。売れ筋は、3万円前後のプレタポルテ(既製品)の浴衣だ。伝統的な古典柄のなかでも、赤や黄色など、華やかな色合いが今年のトレンドだという。帯も、はっきりした色が人気のようだ。

 最近はデザインのみならず、素材にこだわる人も増えているという。猛暑を反映し、ここ数年は、通気性が良い、自宅で水洗いできるなど、着やすさが、選ばれるポイントになっている。東レは、従来製品より10〜15%軽く、静電気の発生を抑えた新素材の開発を発表した。

 大手スーパーに行けば、より低価格で、浴衣は手に入る。例えばイオンは「ゆかた5点セット」(浴衣、帯、下駄、腰ひも、着付けDVD)を15800円で販売。今年は国内初となる、香り付き浴衣の販売を開始するなど、プラスアルファへの取り組みにも積極的だ。イオンもまた、「サラリとした素材」を打ち出している。

 とはいえ、呉服小売市場が好調なわけでは決してない。現在の市場規模は約3000億円で、この数字は、10年前の約半分。市場は長らく右肩下がりが続いてきた。だが2012年は前年比103.7%(矢野経済研究所調べ、見込み)と、明るい兆しが見え始めている。

 浴衣にとっての最大の課題は、着付けだ。株式会社ドゥ・ハウスが発表した「『女性の“ゆかた”事情』に関する調査」結果によると、「ゆかたについて気になること」という問いに対し、最も多い回答が「自分で着付けができない・着付けの仕方がわからない」だった。

 こうした声に応えるように、最近は、着付けを簡便にした浴衣が次々と登場している。着物の丈が着丈と同じで、おはしょりのない浴衣や、スカートを履くように着られる、上・下セパレートタイプの浴衣など。浴衣の、言わば“洋服化”が進んでいるようだ。

 浴衣が着やすくなっていく傾向を、歓迎する向きもあるだろう。一方で、洋服では味わえない、浴衣ならではの美しさこそを、楽しみたいという考え方もあるだろう。では、昔ながらの浴衣を美しく着るにはどうしたらよいのか。装道礼法きもの学院の講師に聞いた。

「浴衣の着付けのポイントは、すその長さ、すその合わせ方、襟元、衣紋の抜き方(首の後ろを、こぶし一つ分空ける)など。これらをきちんと抑えることが大事です。自己流で難しい場合は、一度、講習などを受けることをお勧めします。浴衣の場合、一度か二度、習うだけで、印象が全く変わってきます」

 さらに、スタイルが良い人は、多少の補正をすると、見栄えが変わってくるという。

「着物もそうですが、浴衣は、一枚の布を体に巻き付けるわけです。凹凸のない茶筒に巻くのと、ひょうたんに巻くのとでは、茶筒に巻くほうが美しく巻ける。最近の若い方は、胸が大きく、ウエストが細い方が多い。つまり、ひょうたんなんです。洋服は似合いますが、浴衣を美しく着るには、少し、茶筒に近づける必要があるんですね。

 補正といっても、夏ですから、浴衣の下にたくさん着こむのは大変です。でもせめて、胸の大きい方は、ワイヤー入りのブラジャーではなく、スポーツブラなど、胸を抑えるタイプのブラを使っていただきたい。ウエストがとても細い方は、一枚タオルを巻くなどして、厚みを出していただきたい。出ている部分を抑え、凹んでいる部分に足す。無理のない程度に意識するだけで、浴衣姿は格段に美しくなります」

 時代とともに多様化が進む浴衣。いずれにせよ、どうせ着るなら美しく着て、浴衣美人を目指したい。