アンヘレスの「ジェンネシス」というクラブのきれいどころ(本文とは関係ありません)【撮影/志賀和民】

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フィリピン在住17年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営する志賀さんのフィリピン・レポート。今回は、フィリピンにおけるタガログ語の大切さ。とくに、恋をするならタガログ語が欠かせないという。

 とあるフィリピン通が、「フィリピンで恋をするならタガログ語を覚えなくちゃ」と語っていた(実はこの御仁は、タガログ語ばかりか英語、スペイン語を自在に操る言葉の達人なのだ)。

 フィリピンの花街には日本語をしゃべる子がたくさんいるから、日本語でも何とかなってしまうだろう。しかし、彼女たちにしてみれば商売道具の日本語を駆使して客のハート(財布)を捕まえようとしているのだから、「フィリピンで恋をする」という感じには程遠い。まあ、それはそれでいいのだが、それなら英語ではなぜダメなのか。

タガログで話したときのフィリピン人の打ち解けようは、ほかの言葉とは比較にならない

 ご承知のとおり、フィリピンの公用語は英語だ。公文書はすべて英語で、英語がわからないと会社勤めもできない。しかしそれだけに英語は四角張った言葉であって、恋を語るときもビジネスの交渉にようになってしまう。英語は英語なりに甘い言葉もあるのだろうが我々の実力では英語で相手の心をとろかすなんて芸当はできないし、仮にこちらができたとしても相手が緊張して逆に心を閉ざしてしまうだろう。

 その点、タガログ語で迫れば、相手は自分の言葉だからはじめから心を開いている。たとえ片言でもタガログで話をしたときのフィリピン人の打ち解けようは、英語や日本語とは比較にならない。しかもタガログ語は英語に比べて実にソフトで、フィリピン人を相手に話していて、タガログ語で返されると心がとろける。その点英語は実にぶっきらぼうだ。

 たとえば、「ありがとう」は英語には「Thank you」以外の表現がなくて、そこに感情が入り込む余地がない。しかしフィリピン人は「サラマッポ(Salamat Po)」あるいは「サンキューポ(Thank you Po)」と返してくる。この「ポ」(Po)という言葉は相手を尊敬している場合、あるいは慕っている場合などにつける接尾語で、これがいかにも心地よい。

 相手に質問するとき「What do you want?」「Why are you so angry?」などと質問したら、状況にもよるが、これはすでに相手を責めていることになる。とくにメールなどではニュアンスが伝わらないので喧嘩しているようにも聞こえる。しかし、これをタガログ語で「アノン グスト モ?(Anong gusto mo?=なにが欲しいの)」「バケット カ ガリット?(Bakit ka gallit?=なんで怒っているの)」と言っても、決して責められているようには聞こえない。

 フィリピーナをからかったとき、彼女たちは嫌がっていても、「フワッグ ポ(Huwag po=やめて)」などと、いかにも優しく拒否してくる。

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