「牛福福」1号店で楽しむお客さんたち【撮影/金伸行】

写真拡大

お金儲けの神様「邱永漢」人生最後の弟子で、2005年より中国四川省成都に在住。日本生まれの韓国人で、現在はグループ会社3社の社長兼取締役を勤める金さんと、焼肉店「牛牛福」との9年間にわたる格闘の日々の記録。第5回は店舗準備の過程で目の当たりにしたワイロ大国の現実。ワイロで180度態度を変える男とワイロを拒否した官僚。ワイロを通して出会ったふたりの中国人とは……。

第1回「邱永漢氏に出会い、現職を投げ打って成都行きを決めるまで」はこちら

第2回「ホテル事業を夢見て成都に渡った3日後に告げられた事実とは」はこちら

第3回「焼肉店改行準備で体験した、パソコン購入のための中国式交渉術」はこちら

第4回「開店に向けての市場分析と、人事・料理長・店長の人事問題」はこちら


 中国で事業をやった方の苦労話にはこと欠きませんので、いまさら私の苦労話や困難をだらだらとご紹介するつもりはありません。

 ただ、そうはいっても本当に困難が絶えないものです。まあ、私自身のストレス発散のつもりで少しだけお話すると……。

飛行機が離陸するには正面からの強い風が必要となる

 まずは、会社設立の瞬間からその困難は始まりました。

 わが社は中国国内においては外資系企業となります。ゼロからの設立でしたので、最初はその実態がありませんでした。

 ちょっと細かい話になりますが、中国で飲食店を行なうには「衛生許可証」と「営業許可証」が必要です。衛生許可証がないと、その後の営業許可証は取れません。飲食店が衛生許可証を取得するには、内装工事と厨房工事を行ない、厨房を完成させた後に検査を受けることが条件になります。その後、晴れて営業許可証の取得、会社設立の手続きおよび資本金の注入となります。

 これ、どこかおかしいと思いませんか?

 当たり前ですが、会社が設立できてないわけですから、資本金はまだ口座に入っていません。内装工事をスタートする工事費などはないわけです。でもその工事が完成しないと、資本金を入れるための会社設立ができません。

 そんな馬鹿な、と言われそうですが、わが社の設立時にいちばん最初に頭を抱えたのがこの問題でした。

 中国で頭を痛めるのはこんなものではありません。

 いざ資本金が到着し、明日大きな支払いがあるというその日に、銀行から「システムの都合で、いまお金が動かせない」という信じられない対応をされたり、店内で利用するガス供給システムにLPGを当初から検討していて、再三にわたり消防局側にその案を提出し確認をとっていたにもかかわらず、突然、それがダメだと言われたり、とにかく心臓に悪いことばかり起こるのです。

 とくに上記のガスの問題が起きたのは私の誕生日だったことから、その日の夜、よく眠れなかったことをいまだに鮮明に記憶しています。

 困難が起きると、短期的にはへこたれるものです。そんなときは、いつも次の話を思い出すことにしています。

 誰が言ったのか、どこで読んだのかよく覚えていませんが、「飛行機が離陸するには正面からの強い風が必要となる」という話です。同じように、事業も正面からの逆風をうまく活かして空高く飛ぶのですから、困難は成功のために絶対に必要な要素なのです。

 だから困難にぶち当たるたびに、「よしよし成功に近づいているぞ」と呟くことにしています。

続きはこちら(ダイヤモンド・オンラインへの会員登録が必要な場合があります)