(c)「さよなら渓谷」製作実行委員会

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先月、6月30日にモスクワ国際映画祭にて、唯一の日本映画として出品された映画『さよなら渓谷』が審査員特別賞を受賞。主演の真木よう子さんが、喜びの涙を流したというニュースが話題となった。

人気作家、吉田修一の小説を映画化


原作は『バレード』『悪人』『横道世之介』など海外でも高い評価を受け、これまで数々の作品が映画化されてきた芥川賞作家、吉田修一の同名小説。手がけたのは『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』『まほろ駅前多田便利軒』などで、俳優からの絶大な信頼と熱烈なファンを持つ大森立嗣監督。

今回は、映画賞の受賞のみならず、本作で描かれる男女の関係とその衝撃の事実に注目が集まり、様々な感想が飛び交わされている。

ストーリー


かなこ(真木よう子)は、夫の尾崎俊介(大西信満)と、都会から離れた緑豊かな渓谷で暮らしている。ある日、のどかなこの場所で、幼児殺害事件が起こり、容疑者として母親が逮捕される。これで事件は解決かと思われたが、隣の家に住んでいた俊介がその母親と不倫関係にあり、殺害の共犯者として疑いがかけられてしまう。そして、この通報をしたのは、妻のかなこだった。

明かされる2人の歪んだ関係


本作はサスペンス的にふたりの関係がだんだんと明かされていく。原作をご存知の方はもちろん知っての上でストーリーを追っていく事になるが、未読の方はこれ以上ストーリーは頭に入れずご覧になった方が、きっとその衝撃は強いはず。決して、未来永劫愛し合うことのないであろう2人の関係に、誰もが心乱される。

真木よう子の熱演


かなこ役を演じたのは、映画『つやのよる』やテレビドラマ『最高の離婚』等で活躍目ざましい真木よう子。(ちなみに本作は7年ぶりの主演だそう。意外!)本作のオファーを受け、自分以外に演じる人を考えられなかったという程、この役を快諾。とはいえ、決して易しい役どころではなく、本作に深い意味をもたらす激しいベッドシーンや、精神的に追い詰められていく様を熱演。彼女が背負った深い哀しみや虚無感を繊細に演じ切っている。

相手役の夫、俊介役には、『赤目四十八滝心中未遂』『キャタピラー』の大西信満。その圧倒的な存在感はさすが。この2人の熱演が普通では考えられない男女の関係に説得力をもたらしている。他にも、井浦新、大森南朋、新井浩文が一癖も二癖もある役どころを演じ、かなこと俊介の関係を明るみにしてゆく。

さいごに


すでにご覧になった方の中には、
「かなこの気持ちが全くわからない。」という女性もいれば、「共感は出来ないが理解は出来る……」とコメントする方もいる等、感じ方は様々。
男女によっても、その受け止め方は大きく違うようだ。

私の場合、のめり込み過ぎたらしく、見終わった後はぐったり(笑)。ある方は「観ている間も、見終わった後も深く考えさせれられる。」と仰っていたが、まさに悶々と考えてしまい、誰かと「実際どうなの?」と語り合いたくなる。

決して明るい映画ではないので、どんなカップルにもオススメ!とは言えないが、鑑賞後にお互いの感想を話すことで、男と女の関係について深い話ができたり、
相手の価値観に新たな発見があるかも知れない。

エンディングには、椎名林檎が本作を観て作詞作曲し、真木よう子が歌う「幸先坂」が流れる。是非、最後まで本作の濃厚な世界観に浸り、自身の思いと対峙して欲しい。
(mic)

『さよなら渓谷』は現在公開中。
http://eiga.com/l/I25HC