3連敗で終わった日本のコンフェデ杯。その戦いぶりは、対戦国の記者の目にどう映ったのか。メキシコ『エル・ユニバーサル』紙記者は、香川と本田への依存度の高さを指摘した。

 イタリア戦の戦いぶりがよかっただけに、対戦前は日本のことをかなり警戒していたが、メキシコ戦の日本の出来には正直、失望させられた。日本は序盤こそよく動き、スピードもあり、攻撃的にきて、メキシコを苦しめたものの、なぜだか時間の経過とともに失速してしまい、当然の結果として敗れることになった。

 メキシコと日本の違いでいえば、まず流れが悪い時間帯に相手選手にブレーキをかける有能な選手がいたかどうかということが挙げられる。

 メキシコは前半、悪いなりにもCBやボランチを中心に守り、最終的には香川真司本田圭佑を抑えることができた。だが日本は後半、最も注意すべきチチャリート(ハビエル・エルナデス)を自由にし過ぎた。また、サイドの守備も甘く、後半は左のグアルダード、右のジョバンニ(ドス・サントス)への注意を欠いていた。

 日本の失点を振り返ると、1点目は中央のチチャリートを完全にフリーにしただけでなく、クロスを上げた左MFグアルダードへの酒井宏樹の寄せも甘かった。2点目はCKからで、最後にチチャリートと競り合ったのは途中出場したばかりの小柄な右SB、内田篤人だった。内田とチチャリートでは完全にミスマッチである。CBが1点目同様、チチャリートの動きを見逃していたのだ。

 日本は全体的に守備時のポジショニングの悪さが目立ったが、それは経験のなさからくるものだろう。また、メキシコと日本では身長の差は大きくないが、ひとりひとりのフィジカル=体の強さという点でも、日本は十分でなかった。

 それにしても日本はなぜイタリア戦のような調子を保てなかったのだろうか。メキシコが前の2試合に比べて動きがよかったかといえば、そうではなかっただけに、理解に苦しむのだ。

 メキシコ戦では序盤はよかったが、後半は急に動きが落ちてしまった。常に日本を見てきたわけではないので、コンディションに問題を抱えていたのかどうかはわからないが、試合や時間帯によって出来に波があり過ぎるのではないか。現代サッカーでは90分フルパワーで動くことは難しい。ましてコンフェデ杯のような短期間に集中して試合を行なう大会の場合には、試合の中でのリズムやペース配分が大事になってくる。日本はそのあたりのことを学ぶ必要があるのではないだろうか。

 また、イタリア戦でもメキシコ戦でも、攻撃面では相手にダメージを与えるべき場面で確実に決め切れず、勝負強さが備わっていないようにも感じられた。岡崎慎司はスピードもあり、大会を通して日本の攻撃に驚きを与えていたが、全体としては香川と本田への依存度が高すぎるようにも感じた。香川は言うまでもなく日本のスターだが、チームのバランスは大切だ。

 日本が来年のW杯でどこまで行けるかについていえば、日本の何人かの選手は「優勝」との発言もしているようだが、それはないだろう。イタリア戦の戦いぶりを思えば不可能はないと言えるかもしれないし、日本は遅かれ早かれタイトルを手にするだろうが、それはまだ先の話だ。

 コンフェデ杯を見ても、ブラジルやスペインなど世界トップクラスの国々に比べれば、日本は依然として劣っていると言わざるを得ない。更なる進歩に向けては、コンフェデ杯で浮き彫りとなった課題を徹底的に洗い出して、ひとつひとつ解決する以外に道はないだろう。

ブルームロゼン・ダニエル●文 text by Blumrosen Daniel
栗原正夫●翻訳 translation by Kurihara Masao

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