サントリー×サーモスのdropは2〜3時間後も味・温度が落ちない

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 近ごろ、アウトドア利用だけでなく、職場でも自分専用の水筒持参で思い思いの飲み物を自分に合った適温で嗜む人が増えた。

「特に夏場の外回りは水分補給が欠かせませんが、いちいちコンビニでペットボトルを買っていたら不経済。そのため、毎朝、自宅から水出しの麦茶を水筒に入れて持参しています」(OA機器メーカーの営業マン)

 いわゆる「マイボトル文化」の盛隆期といえる。ステンレス製魔法瓶の老舗メーカーであるサーモスの調べでは、携帯用の魔法瓶の国内出荷数量は年間約2000万本。「2010年あたりから一気に需要が伸び、累計で見れば国民一人に1本は行き渡っている」(サーモス・マーケティング室の片岡有二室長)ほどの人気だ。

 急激にマイボトルブームが訪れた背景は何か。飲料総研取締役の宮下和浩氏の解説。

「スターバックスやタリーズといったコーヒーチェーンのマイボトルがブームとなり、空の容器を持っていけば割引で飲料を補充してくれるサービスが広がったことが大きい。また、オシャレ容器のヒットに加え、2008年以降のリーマンショックや大震災を経験して節約・エコ志向が高まったこともマイボトル需要をじわじわと押し上げた要因です」

 宮下氏によれば、一度マイボトルを味わった人たちは、缶やペットボトルのパッケージ製品に手が伸びにくくなるらしい。「飲料市場全体の出荷は年間約18億ケース。10人に1人がマイボトル派としても約2億ケースの市場は見込める」(宮下氏)ことになる。

 そこで、さらなるマイボトルの普及と飲み方提案をすべく、前出のサーモスとサントリーがタッグを組んだ。両社が“次世代飲料”と位置づけるのは、1980円の専用ボトルを使ってコーヒーや烏龍茶など12種類・各90円の濃縮飲料(密封ポーション)をつぶし、水やお湯で割るだけの新スタイル。

「drop」と名付けられたマイボトルドリンクは、3年の開発期間を経て、今年10月下旬より関東にある約5000店舗のセブンーイレブンで販売される。

<2015年までに年間100万本のボトルと2億4000万個(1000万ケース規模)のポーション販売>と意気込む両社。この目標数値が現実となれば、「飲み物はフレーバーを選んで自分でつくる」スタイルが定番化し、“飲料革命”が起きることになる。

「コンビニのカウンターコーヒーが流行しているように、飲む直前にポーションを開封するスタイルは風味が豊かで新鮮なイメージがあります。仮に売れないフレーバーがあれば、ポーションを入れ替えればいいだけで、メーカーの投資額も少なくて済みます。

 マイボトルドリンクの認知度が高まれば、今後は冷水や熱湯も自動で注いで抽出してくれる専用サーバーをコンビニ各店に設置するなど、新たな展開も考えられます。空のボトルを持ち込むだけでいろんな飲み物が安く買える時代。既存の飲料メーカーにとっては脅威になるでしょうね」(前出・宮下氏)

 dropの専用ポーションの中には、冷たい飲み方が当たり前のオレンジジュースも、わざわざ「HOTでおいしいオレンジ」として売り出している。

「密封性の高いポーションは果実の味わいを豊かにする原料をふんだんに使うことが可能。また、鮮度を保つボトルで飲むからこそ、ホットで飲んでも美味しい」(サントリー食品インターナショナル食品事業本部の吉雄敬子氏)のだそう。

 マイボトルドリンクの進化は、飲み方のスタイルだけでなく、飲料に抱く味の常識をも変えようとしている。