ドンキ裏からみた猿島(C)Google

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無人島を目指し真夜中の海へボートで漕ぎ出した少年6人が、遭難して5人が救助、残る1人は現在も行方不明という結果になってしまった。

当日は注意報が出るほどの「大シケ」だったにも関わらず、乗っていたのはドン・キホーテで買った1970円のビニールボートという話もあり、「無謀だったのでは」との指摘がネットで相次いでいる。

当日は南南西15メートルの風、波は2.5メートル

神奈川県横須賀市の猿島は東京湾内最大の無人島で、同市平成町の「うみかぜ公園」から約1.5キロメートルの場所に位置する。最近では観光地として10分ほどで行き来する船が出ており、一般客のほかコスプレイヤーが押し寄せ注目されている。

「猿島へ行こう」――こんな好奇心に胸を膨らませ、17歳から18歳の少年ら6人は2013年7月5日22時頃、ゴムボート3隻に2人ずつ分乗し、暗い海へと出航した。

しかしその1時間後には、県警から横須賀海上保安部へ通報が。

横須賀市平成町3丁目海釣り公園の沖合い約1キロにゴムボート3隻が流されており、各2名ずつが乗っているようだ」

少年らは海流に阻まれ猿島に近づけないまま遭難し、110番に助けを求めたらしい。現場に急行した巡視艇2隻が、通報から約3時間後に少年ら5人を発見・救助したのは、「うみかぜ公園」から北北東約3.7キロから9キロの海上だった。

ボートのうち1隻は転覆しており、その時に現在行方不明の1人が投げ出されたものと見られている。救出された5人は救命胴衣を着用していなかったが、幸いにも怪我はなかったという。

横須賀海上保安部によると、当日は南南西15メートルの風が吹いており、波は2.5メートルから3メートルの「大シケ」だった。16時の時点で強風波浪注意報も出ていて、「普通の遊漁船でもあまり出ない」状況だったという。

さらに、報道からは驚くべき事実が明らかになった。少年らがのっていたのは、近隣のドン・キホーテで購入した1970円のプール用ビニールボートだったという。

ボートは中国製で、大きさは全長約2メートル、幅約1メートルで、プラスチック製のオールがついている。エアポンプで空気を入れて膨らませるのだが、少年らにはこの手漕ぎボートが、荒波を渡る冒険船に見えたのだろうか。

「小学校で晴れの日でも沖に流されると習う」「素人では危険」

「ドンキの裏から猿島見えるから行きたいのはわかるが・・・」

猿島周辺を実際に知っている人の間で、島に自力で渡りたいという気持ちは分からなくない、とする見方もネットには少なくない。ただ、いったいなぜシケの真夜中にこんなボートで海に出ようと思ってしまったのかについては首をかしげる人がほとんどだ。

「島へのゴムボート渡海は確かに面白そうな思いつきで判断狂うのも分からんでもない。素人が夜の海に手漕ぎってところで素面に戻れば良かったのにね」

地元の人はツイッターで、「小学校で、猿島へこういう風に渡ろうとすると、晴れの日でも沖に流されるって習います。すぐ横には、米軍基地があるのでとても危険です」「地元の防大では猿島遠泳が必須だし、叔父も海軍で泳がされたらしい。島の周囲は潮の流れが速い場所もあり素人では危険だと聞いた事があります」などと指摘し、残る1人の少年の身を案じている。

横須賀海上保安部職員も、当時の海の状況を振り返ってこう話していた。

遭難した子たちはそこまで考えていなかったのでしょうけど、通常海に携わる人間ならば、ビニールボートで出航はしないですね。暗い海ですし、無謀という印象です」