今月注目!経済の言葉「日経平均1143円安」
TOPIX(東証株価指数)も年初来高値を連続更新と、相変わらず絶好調の日本株市場。値上がり銘柄数を見ても、東証1部の約1700銘柄中、1300銘柄が上がった日があるなど、何を買っても大丈夫な気が…。でも選別は必要だ!


投資をしていれば、さまざまな思い出が株価の動きとともに残るもの。そして、恐怖や不安の記憶ほど鮮明です……。

バブル崩壊後の最安値をつけた日やライブドア・ショック、リーマン・ショック、震災時の暴落など、株価の動きで日本の歴史を記憶していると言ってもいいくらい。そんな記憶の一ページに、新たに刻まれたのが今年5月23日。

午前中の日経平均は、22日の終値から高く寄り付いて始まり、いったんは前日比315円高まで上昇。「ああ、今日も平和な一日なのね♪」と思っていると少しずつ崩れ始め、「アレ、おかしい!?」と思ったときにはすでに遅しで、気づけば1143円安でした。

ちまたでは中国経済の後退懸念とか、ジョージ・ソロスが日本株をすべて売却したとか、後付けのようなウワサが出回りました。

でも、一番もっともらしい理由は、長期金利の急上昇に日銀が本気で対処しなかったから、でしょうか。「債券先物売り・株式先物買い」というゲームのような取引が積み上がり、これによる行きすぎた株高に個人も便乗……そして、行きすぎた上昇のハシゴがちょっとしたはずみで外れ、ろうばい売りに。

「行きすぎた上昇の反動は、行きすぎた下落になってしまうのが相場」ということをこれまでの痛い経験の中で味わっていても、やはりまた思い知ることになりました。これまでの爆上げの過程で買って、23日の暴落で叩き売って、24日の午前中の上昇で飛びつくように買い直して、さらにその午後の暴落に恐ろしくなって損切り……というような、典型的な“往復ビンタ”を食らってしまった投資家さんは少なくないはず。

でも、相場は下げなきゃ上がりません。つまり、ここからさらに上がるためにも下げは必要だったんです。だからこそ、今回の暴落で株式投資をやめてしまってはもったいない。そして、大勢が一方向に動いたときこそ逆を行く、ということも覚えておきたいですね。

若林史江(わかばやし・ふみえ)
株式アドバイザー、徳山大学経済学部特任講師

この連載では経済を背景に移り変わる金融用語を、できるだけわかりやすく紹介していきます♪



この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。