電通カジノ事業を推進するセクションが2部門あるのをご存じだろうか。
 '11年に発足したソーシャル・リレーション局の『カジノ&エンタテイメント事業部』、『カジノ&観光プロジェクト部』がそれで、ここにきて活発な動きをみせている。

 カジノの賭博行為は刑法185条で禁止されている。だが、電通の中にはすでにカジノ事業をプロモーションする部門が発足していたのである。一歩間違えば危険ともいえる動きだが、電通は何を考えているのか。
 じつは、近い将来訪れることが予想される“カジノビジネス時代”に備えての準備といえよう。今年に入って、電通は大手企業への説明会をたて続けに開き、機運を盛り上げている。

 安倍晋三総理からしてカジノビジネスについては前向きだ。
 「カジノ導入が産業振興をもたらしうるとの議論がある。治安に悪影響を与えかねないとの問題点も指摘されるが、私自身はメリットも十分あると思う」

 今年3月8日、衆院予算委員会で『生活の党』鈴木克昌幹事長が「カジノを解禁すべきではないか」と迫ったのに対し、答えたものである。
 すでにカジノ解禁に関する超党派議員グループ『国際観光産業振興議員連盟(IR議連)』も精力的な動きを見せている。今秋の臨時国会に議員立法での法案を提出、早期の成立を目指す構えだ。
 同議連では安倍総理と麻生太郎副総理の2人のほか、石原慎太郎・日本維新の会共同代表が最高顧問に就任。政治力のある連盟だけに法案を通すのは難しくはなかろう。

 問題は、どの場所にカジノ地区をオープンするか、である。いま最有力候補に挙がっているのが、フジ・メディア・ホールディングスの本社所在地である『お台場』である。昨年5月にオープンした『ダイバーシティ東京』が重要ポイントになるはずだ。
 この場所はすでに「IR地域=Integrated Resort(複合観光施設)」として認可を受けている。カジノを中心に宿泊施設、飲食施設、小売施設、会議施設、娯楽施設などが集まった観光施設のことだ。
 つまり『お台場』地区は、条件が揃えばカジノをオープンさせてもよい特別な地域として東京都から認可を受けたのである。

 カジノ解禁となれば、フジMHDの株は今後「関連銘柄」の代表格として注視の的となるだろう。