マレーシア 2025年に向けた経済成長。「イスカンダル開発計画」とは?
シンガポールと協力し、2020年までの先進国入りを目指す!



5月半ばに発表された、マレーシアの1〜3月期GDP(国内総生産)は前年比でプラス4・1%と予想(プラス5・2%)を下回り、過去3年ほどで最も低水準でした。

想定以上に弱かった外需(輸出)が足を引っ張った格好ですが、引き続き内需は力強く、今後も成長の牽引役になると思われます。

実は、マレーシアは2020年までに先進国入りすることを目指しています。国を挙げての経済開発計画が中長期にわたって進行中で、それらが内需を支えていますが、その中のひとつに「イスカンダル開発計画」というプランがあります。

ちなみにイスカンダルとは、宇宙戦艦ヤマトが「コスモクリーナーD(放射能除去装置)」を求めて向かう惑星の名前ではなく、同国ジョホール州にある地名で、かつてこの地域を治めていたスルタン(王)の名前に由来しているそうです。

開発地域の面積は2217平方キロメートル(シンガポールの約3倍)に及び、下の図のようにA〜Eの5つの地区に分けて、それぞれ、金融や教育・医療、物流などを重点的に強化していく計画で、2025年までの息の長いプロジェクトとなっています。

ジョホール州は狭い海峡を隔ててシンガポールと隣接しており、香港と深センのような発展関係をマレーシアとシンガポールでも実現していくことが狙いです。

実は、マレーシアがこの計画を発表したのは2006年11月のことで、テーマとしてはそれほど目新しくはないのですが、当初はあまり乗り気でなかったシンガポールがだんだんその気になってきたことで、2010年あたりから注目度が高まってきました。

入国審査の円滑化や交通・輸送手段の拡充、観光・環境の協力などの面で進展を見せ始め、今年の2月には両国間の高速鉄道の建設が決まっています。

また、両国の政府系投資会社による共同投資事業など、本格的にプロジェクトが動き始めた印象があり、実際に同地域に進出を決めた外資系企業や海外の教育機関などもあるようです。

政策のキメ細かさや進捗のスピード・効率性などにおいて、不安がないわけではありませんが、壮大な規模や両国間の協力、ネーミングのインパクト(?)など、今後は同計画が注目を集めていきそうです。



土信田雅之(Doshida Masayuki)
楽天証券経済研究所 シニアマーケットアナリスト

新光証券などを経て、2011年10 月より現職。ネット証券随一の中国マニアでテクニカルアナリスト。歴史も大好きで、お城巡りと古地図収集が趣味。




この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。