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ジャスダック上場のネクスは最近、元気がいい。株価は年初から6月10日までに約80%倍も上昇。評価されているのは「M2M」、機械と機械をつなぐ?マシーンtoマシーン〞技術の将来性だ。野村総合研究所によれば、M2Mの市場規模は2017年に8700億円(昨年は1300億円)に急拡大すると予想されている。

ということで、本誌編集部はネクス東京本社を訪れた。同社の石原直樹副社長は「M2Mは、Aという機械とBという機械をつなぐ技術。AとBを媒介するCという機械に通信機能と頭脳を持たせることで、遠くにある機械を自動制御できます。そして、そのCの機械を作っているのが、弊社です」と説明してくれた。

「パソコンとプリンター」のように機械同士をつなぐだけなら、ケーブルや赤外線通信など手段はいくつもある。しかし、ネクスが得意なM2Mは情報をどの機械に送信するかを機械が判断するため、人手もパソコンも介さず、機械を自動制御できる。つまり、人件費削減などの利点があるのだ。

M2Mの用途は広い。自販機の在庫管理や、心停止時の蘇生に使うAED機器のバッテリー残量確認や故障チェックの遠隔操作にも実用化されている。自動車関連では、カーナビの地図情報更新、車のリアルタイム位置情報管理、将来的には完全自動走行に応用される可能性もある夢の技術だ。



ネクスには苦難の時期もあった。2007年に上場したが6期連続赤字。売上高が100億円に乗せたこともあったが、利益が付いてこなかった。しかし、昨夏に投資情報会社・フィスコの傘下入り後、大胆に戦略転換し、早くも黒字に浮上した(決算期変更のため、前期は4カ月決算)。

従来は通信事業者向けの格安音声端末など個人消費者向け商品も作っていたが、一般向け商品は四半期ごとの新商品投入を求められ、莫大な開発資金が利益を圧迫した。そこで、得意のM2Mに特化したのだ。

4月発売の超小型の通信アダプター(写真)は従来機種の3分の1の超小型機。WiMAXやLTEといった多様な通信規格に適合し、世界展開が可能になった。

ただ、この手の新技術はすぐに模倣されるため、「オプショナルパーツのラインアップを充実させ、使用用途に合わせてカスタマイズすることで、先行逃げ切り型でやっていく」(石原副社長)と、油断はない。



注目分野は農業。本社遊休地(岩手県花巻市)に昨年11 月、100坪のビニールハウスを建設し、デジタル管理する科学的土壌マネジメントで野菜を育成。この農業ICT(情報通信技術)で、トマトなどの野菜生産に乗り出し、今年1月に初出荷した。

また、岩手県陸前高田市で震災復興を目指す、きのこのSATO社との共同事業である、きのこ栽培管理システムの開発は、地域活性化ファンドの支援案件にも採択された。

農業ICTでは、ハウス内の温度や湿度、二酸化炭素濃度をネクス製モニターで24時間監視してタイミングよく暖房や換気することで、経験や勘に頼らない最適生産プロセスの確立を目指す。ICTで収穫量を最大化できれば、農業分野にもM2Mが普及する可能性がある。「美味しく安全な野菜を作るだけではなく、農業ICTを通じたM2M事業の拡大が狙いです」(石原副社長)



この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。