今年のフィリピンの注目は金融株。タイ株も内需拡大でまだまだ伸びる!
急速な株価上昇とともにPER(株価収益率)がやや割高となってきたASEAN(東南アジア諸国連合)株。だが、成長の伸びしろはまだまだ大きく、長期的には株価がさらに上昇するとの期待もある。ASEAN主要市場を網羅する東海東京証券に見通しを聞いた。


人口の増加とともに長期成長が大きく見込めるフィリピン経済

欧米やアジアなど、世界22カ国・地域の株式取引サービスを提供している東海東京証券。ASEANでは、インドネシア、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナムの5カ国に加え、6月からフィリピン株の取引もできるようになった。

「ASEANの国々はいずれも高成長が期待できますが、特に注目したいのはフィリピンとタイです」と語るのは、同社アジア株式営業推進部長の町山浩幸さん。

そこで、まずはフィリピン株の魅力を聞いてみた。

「魅力はなんといっても経済の好調が長く続く見通しであること。昨年のフィリピンの経済成長率は6・6%と高水準でしたが、2018年までは年平均1・9%ずつ人口が増え続ける見通しで、現在の総人口約9400万人が2015年には1億人を突破します。その分、個人消費は拡大しますし、人口ボーナス(子供の人口よりも生産年齢人口の割合が高くなる状態)も2015年から始まるので、成長が加速するはずです」



フィリピン株相場が昨年以来、過去最高値を更新し続けているのも、持続的な成長への期待が背景にあるようだ。

また、今年から来年にかけての材料としては、「金融の事業再編が注目されそうです」と町山さんは語る。

「フィリピンの金融グループは、傘下に銀行などの金融機関だけでなく、事業会社まで抱えるグループ形態をとっているのですが、フィリピンでは来年からバーゼル?(銀行の健全性を維持するための世界的な新規制)が適用され、銀行が保有するリスクアセットへの規制が強化されます。これを受けて、金融グループが事業会社を切り離し、新たな事業持ち株会社の下で再編する動きが進んでいるのです。再編によって誕生した事業持株会社に注目しています」

具体的な銘柄としては、トヨタとの合弁による自動車販売会社や電力会社などを傘下に持ち、すでに再編を進めているGTキャピタル・ホールディングスなどに注目している。

一方、タイについては、「国民の人気が高いインラック首相が進めている大規模なインフラ投資や内需拡大策が、経済成長の持続を促しそうです」と町山さんは指摘する。



タイといえば、2011年の大洪水の被害が甚大だったが、「洪水対策のインフラ整備だけで昨年から今年にかけて約1・2兆円、その他のインフラ投資では2020年までに総額7・7兆円もの予算を投じる計画です。また、内需拡大では、地方労働者の最低賃金をバンコク並みに引き上げたり、自動車購入の補助金制度を設けたりと、積極的な政策を次々と打ち出しています」。自動車購入の補助金制度は、初めて購入する人には10万バーツ(約32万円)を補助するという手厚いものだ。

「新卒の会社員でもマイカーが購入できるようになり、クルマが飛ぶように売れています。足元はバーツ高の影響で輸出がやや落ち込んでいますが、内需は今後ますます盛り上がりそうです」

町山さんがタイ株で注目しているのは、バンコクを中心に複数の病院を経営するバンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズと国内3位のサイアム商業銀行だ。

「バンコク・ドゥシット・メディカル・サービシズはホテルのような設備とサービスが好評で急成長しており、サイアム商業銀行は国民の人気が高いタイ王室が大株主であることが強みです」



GTキャピタル・ホールディングス(金融)