株式会社ユーザベースの共同創業者である梅田優祐さん(左)と新野良介さん(右)

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ここまでの2回に渡って日本人富裕層のシンガポール進出事例について紹介しましたが、今回からは日本人起業家のシンガポール進出について紹介します。

シンガポール政府からの積極的な誘致

 初回は、企業情報のクラウドサービスを提供する株式会社ユーザベースです。株式会社ユーザベースの共同創業者である新野良介さん(35歳)/梅田優祐さん(32歳)とは、ユーザベースを創業したころからの知り合いですが、2008年4月の創業以降順調に業容を拡大し、創業から5年で社員数も80名を越えています。

 基幹商品であるクラウド型の企業情報提供サービス「SPEEDA」は、ユーザインターフェースの分かりやすさで、金融機関はもちろん、最近では事業会社にも普及してきています。昨年には2億円の資金調達を行い、今後は海外展開を加速していくようですが、シンガポールには共同創業者である新野さん自ら、8月から現地に入って指揮をとります。

 企業情報提供サービスという彼らのビジネスの性質上、グローバルの金融機関が集積するシンガポールは非常に重要なマーケットであり、以前から進出を検討していましたが、シンガポール政府の積極的なITベンチャー誘致姿勢には2人とも非常に驚いたと話しています。

 海外展開を本格的に考え始めたタイミングである昨年8月に、大手IT企業のベンチャー・キャピタル部門で働く先輩の紹介として、シンガポール政府のベンチャー誘致担当者の訪問を受けました。その担当者は30代の女性で、シンガポールの情報芸術省の傘下にあるInfocomm Development Authority (IDA)に所属する人物でした。

 ユーザベースのように高い技術力を持ち、高付加価値なサービスを提供しているITベンチャーには、ローカルの雇用への多大な貢献が期待できるとして、様々な優遇条件が提示されています。

 法人税の優遇や拠点選びのサポートに加えて、ローカルのエンジニアを採用した場合に人件費を政府がサポートするというオファーに、梅田さんと新野さんの2人はビックリ。最大2年間、エンジニアの人件費をサポートするといった政府による補助制度が用意され、企業の成長ステージやシンガポールにおける事業展開計画に応じて具体的なオファーが決まります。

 また、こうしたシンガポール進出のサポートだけではなく、上記のIDAにはInfocomm Investmentsという資金2億ドルのベンチャー・キャピタル (VC)があり、優良企業であれば大手民間VCとの協調出資もできるという話でした。

 新野さんは、金融機関等の知識プロフェッショナルを主要顧客としているというビジネスの特性上、代理店を通じた販売ではなく直接販売が最適と感じており、シンガポールにおいてローカルの人材を積極的に雇おうと考えているため、今後IDAの担当者やInfocomm Investmentsの幹部と優遇条件の詳細について詰めていく予定です。

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