これまでの作品を思わせるような電脳世界のシーンも/[c]士郎正宗・Production I.G/講談社・「攻殻機動隊ARISE」製作委員会

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士郎正宗の原作を押井守が劇場映画化し、ジェームズ・キャメロンやウォシャウスキー姉弟といった海外のクリエイターにも多大な影響を与えたSFアニメ『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』(95)。同作以降、劇場アニメやテレビアニメなど何度も映像化されてきた「攻殻機動隊」シリーズ最新作の第1弾となる『攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Pain』(公開中)が、公開からヒットを飛ばし、大きな反響を呼んでいる。

【写真を見る】マスコットキャラクター的なロジコマとのやりとりも楽しい

今回、キャラクターデザインや声優陣が過去シリーズからがらっと変わってしまっているので、当初、コアなファンの間では賛否両論だった。だが、実際に公開されてみると、意外にも好意的な反応が多い。それは、本作が『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』の2年前の設定で、いわゆるシリーズ“エピソード0”に当たる作品なので、変化に対する違和感がさほど感じられないからだろう。物語の世界観が好きな人にとっては何の問題もないと言えるのだ。

「マルドゥック・スクランブル」シリーズの著者として知られる冲方丁による脚本は、主人公・草薙素子が恩人でもあった軍人の謎の死をめぐるトラブルに巻き込まれていく姿をミステリアスに描き出している。この手の連続シリーズでは、尻切れトンボ的に次回へ話を持ち越すパターンが少なくない。だが、後に素子とチームを組む公安9課のメンバーたちとのエピソードは続くものの、今回の物語については一応の決着がついているのも好意的に見られる部分だ。もちろん、劇中で描かれる素子と敵対組織(だけに限らない)との戦闘シーンはエキサイティングで、そんななかで素子が時折見せる弱い部分も、手練れではない頃の彼女の一面が見られファンにとって興味深い。

気になる各キャラクターの声についても、新たに素子を演じる坂本真綾は、『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』で少女の姿をした素子を演じていたというのもあり、適任とさえ言えよう。それは荒巻部長やバトーもしかりだし、「ルパン三世」で増山江威子からバトンタッチして、新たに峰不二子を演じている沢城みゆきによるロジコマの声もキュートだ。

また、これまで『GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊』『イノセンス』(04)では川井憲次、「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」以降のテレビアニメ作品では菅野よう子が手がけてきた音楽を、新たにコーネリアスが担当している。これが今回の世界観に見事にはまっており、salyu×salyuによるエンディングテーマも印象的に仕上がりだ。

作品の仕上がりに不安を覚え、まだ観賞していないファンは是非とも音響設備の整ったシネコンなどで見てほしいものだ。【トライワークス】