昨年11月以来続いてきた円安の流れが一服している。1ドル=100円を突破したものの、6月頭には再び100円割れとなった。今後の円相場の行方について、酒匂・エフエックス・アドバイザリー代表の酒匂隆雄氏が読み解く。

 * * *
 今年に入って、米ドル/円相場は大台の100円を突破するなど、かなり急ピッチで円安が進んだが、その後100円を割り込み、その勢いは鈍っている。7月下旬に予定されている参議院選挙の前後からは、ドル高を修正する動きになると予想している。アベノミクスに対する海外の評価は非常に高いが、おそらく自民党の勝利で終わるであろう参院選の後は、これまでのようなフィーバー的な評価は沈静化すると思われる。

 そもそも、日本が輸出立国であると見る考えは大きな誤りだ。企業の生産設備の海外移転はかなり進んだ。その証拠に、GDPに占める物とサービスの輸出比率は15%に過ぎない。日本はすでに内需型の経済に移行しており、円安で恩恵を受ける国内企業は少数派となっている。

 昨年11月から進行した円安は半年以上経過。エネルギーを始めとした資源や原材料の輸入価格は本格的に上昇する時期で、国民生活のあちこちにデメリットが出始めてこよう。円安のデメリットがクローズアップされるに違いない。アベノミクスに対する評価は、参院選後にいったんピークを迎えるのではないか。

 米国の警戒感も強まりそうだ。4月中旬に、米財務省が議会に提出した為替報告書で、円安に懸念を示すコメントが記述されていると報じられたが、米国政府の本音はその記述に近いと考えられる。政府当局者は直接言及しないだろうが、周辺からの牽制は強まるだろう。

※マネーポスト2013年夏号