5月23日、1万6000円にあと一歩というところからのまさかの大暴落。わずか12営業日で日経平均は約3500円もブチ下げた。しかし、6月7日の米国の雇用統計を機に、「コツン」と底を打った音が聞こえた。さあ、出直し買いだ!!


今期は円安と低金利で、上場企業の業績急回復が予想される。日経平均株価に採用されている225銘柄の予想最終利益は平均で前期比45%増というから、かなりの大幅増益だ。決算発表後のアナリスト説明会では、胸を張る企業経営者が例年になく多かったのも当然だろう。

ただ、アナリスト説明会後の雑談では、企業年金基金や投資信託を運用する長期投資型の機関投資家を中心に、「反感」の声も聞かれた。「社長の手腕じゃなくて、安倍さんのおかげじゃないの?」と。

個別企業の輸出比率によって違いはあるが、1ドル=80円が100円までの円安に動いただけで、輸出採算は最低でも3割は改善するという。つまり、苦心して新商品を開発したり、取引先を開拓したりといった努力がなくても、昨年までと同じことをしているだけで、円安効果で自動的に大幅増益になる企業が多いということだ。

金融関連業でも銀行を中心に、金利低下による債券含み益の増大と株価回復による含み損解消が損益改善の主因となったケースが多い。

では、政策のおかげで躍進した企業は、政策という追い風が止まったら自力で前に進めるのか?

円安など政策効果による事業環境の改善だけで大幅増益になった企業に対する機関投資家たちの反感とも不信感ともつかない声は、ここに集約される。

先の衆院選からすでに半年が経過し、適当に銘柄を選んでもそこそこ値上がりする局面は過ぎ去った。今から新規に投資するならば、政策と自助努力という2つの成長エンジンを持つ企業がいいだろう。

たとえば「異次元金融緩和」と称される日銀の大量資金供給は、デフレ対策の緊急避難的な措置だ。日銀も副作用はしっかりと認識しており、デフレが解消すれば打ち切る方針を示している。

その際、為替は日本経済の強さを評価する形で円高に戻り、円安だけが増益要因の企業は再び輸出不振やアジア企業との低価格競争に泣くことになる。しかし、営業戦略の見直しや海外営業の積極化、新分野の育成などを利益成長の原動力に据える企業は、環境がどう変わっても伸びていくだろう。株式投資とは「官」をアテにするのではなく、「民」の力を信じるものだ。

政策に頼らず利益を出している5銘柄

【東京計器(東1・7721)】203円(1000株)
旧・トキメック。海外売上高比率を現在の14.5%から30%にし、他社の追随できない独自商品を投入を目指す。

【堀場製作所(東1・6856)】3420円(100株)
エンジン計測機器で世界シェア8割の優良企業だ。自動車向け以外にも、血球計測など各種分析装置が好調。

【東光高岳ホールディングス(東1・6617)】1438円(100株)
東電系の2社が経営統合して発足したばかり。東電依存度を引き下げる方向で、来期から収益率上昇か。

【ライフコーポレーション(東1・8194)】1250円(100株)
首都圏と関西に特化して食品スーパーを展開。独自の出店戦略と価格体系で、規模の大きい他社に追う。

【日本電産(大1・6594)】6720円(100株)
衰退産業死されてきた電機業界への依存度を下げるべく、永守重信会長によるトップ裁定で他分野の強化を決定。

※株価は2013年6月10日現在。



この記事は「WEBネットマネー2013年8月号」に掲載されたものです。