『あまちゃん』ほど甘くない? ご当地アイドルの地味な世界

 世はまさに『あまちゃん』フィーバー真っただ中。先日リリースされたサントラまでもが、発売初週で1万2000枚を売り上げ、アルバム部門でオリコンウィークリーランキング(集計期間6月17〜23日)初登場5位にランクイン、朝の連ドラのサントラアルバムで初のトップ10入りと異例のヒットを記録しました。

 6月中旬からは、能年玲奈演じるヒロインの天野アキが北三陸を離れ、全国47都道府県のご当地アイドルから選抜された「GMT47」のメンバーとして上京。いよいよ「東京編」が始まりました。

 いきなりアイドルヒエラルキーの壁にぶち当たる一方、能年玲奈さん自身も同年代の女優やアイドルたちと競演と、虚実ないまぜではありますが、実際のところ、ご当地アイドルの内側ってどんなものなんでしょう? 放送作家、アイドルライターとして活躍中でご当地アイドルブームの火付け役の一人とも言われるエドボルさんに聞いてみました。

――エドボルさんが抱いた「あまちゃん」の印象は?

 アイドルという側面だけを見ると、実際のローカルアイドルと比べると「大人」の存在があまり見えないため、リアリティはちょっと薄いかもしれません。松田龍平が演じる水口も、現実のスカウトやマネージャーはあんなに暇じゃないですね。

 ただ、橋本愛ちゃん演じるユイのような東京志向が強い娘が、まだロクに活動もしていない「北鉄のアイドル」であることを“消したい歴史”と言ってしまう感じは、ちょっとリアリティはありますね。まあ、そういう娘ってアイドルでは成功しにくいのですが。

 あと「仙台牛タンガールズ」の歌うリンダリンダ風の「♪ずんだ〜ずんだ〜〜」は「Negicco」の「ねぎねぎRock〜私をお家に連れてって〜」並みのご当地感溢れる破壊力があって大好きです」(※「Negicco」は新潟の名産品「やわ肌ねぎ」のPRのために2003年に結成され、もう10年も地道に活動中。ライブで、ねぎを持って踊る)

――なるほど(笑)。「あまちゃん」のアキとユイのユニット「潮騒のメモリーズ」は、結成前からネット上などで話題になり人気もありました。現実世界では、あそこまで知名度を上げるのにも苦労が要りそうです。ご当地アイドルブームとはいわれていますが、彼女たちが活動を続けていくのは大変なことではないでしょうか。

 地方で地に足を付けて活動しているアイドルは一歩一歩地道に頑張っていると思います。地元のお祭や企業のイベントで、アイドルに興味ない人たちを前に、PA(ライブでの音響など)もままならないような会場でパフォーマンスすることもありますから。最近ブレイクを果たした「Negicco」や「LinQ」(九州)も、現在でもそのようなライブも続けています。

 そして、やはり東京での活動はローカルアイドルに欠かすことができませんが、その移動も深夜バスや、地元からスタッフが運転する車で移動というのもざらです。「ひめキュンフルーツ缶」(愛媛)なんて、機材と衣装を積んだ機材車で移動なんて、まさにロックバンドと同じような活動をしていますし

――涙ぐましい! なんだか応援したくなります。ではご当地アイドルブームの次の展開は?

 AKB48のブレイク以降、おニャン子などを追いかけていた世代だけではなく、若い世代にとってもアイドルがぐっと身近な存在になっていると思います。それは観る方にとっても、やる方にとっても。それが、様々なブーム同様に、東京の時流からディレイする(遅れる)形で徐々に各地に伝播しています。実際に今、東京より地方のファンの方がアイドルを純粋に楽しんでいるのを、現場で体感しています。

 さらにガラパゴスな地域の新しい発想が、Perfumeのときのようなまったく新しいアイドル像を創り出してくれるのではという思いも込めて、地方発のアイドルが東京を席巻する日がそう遠くない未来に来る気はしています。

 まさに、アイドルのパワーで地方を元気に!ひいては日本を元気に!ご当地アイドルに期待大です。 <TEXT/おはつ>