都心の一等地にあり、バブル期には利用することそのものがステータスだった赤坂プリンスホテル。いまは営業が終了し、徐々に縮んでゆく解体作業の様子がさまざまに報じられるのを目にした人も多いだろう。その赤プリ再開発について、ジャーナリストの永井隆氏がリポートする。

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 西武グループの強味のひとつは莫大な不動産だ。これまで「峻別と集中」をキーワードに六本木プリンスホテルやニセコ東山プリンスホテル、複数のスキー場などを売却して有利子負債の圧縮を進めてきたが、それでも同グループは都心や郊外に1兆円以上の土地・建物などを有する。これらを高収益物件にしていくことがポイントだ。

 目下、注目されているのがグランドプリンスホテル赤坂(旧名・赤坂プリンスホテル)跡地を再開発する「紀尾井町計画」である。HD傘下の不動産事業会社・西武プロパティーズの妹尾寛仁・都市開発部ジェネラルマネジャー(48)が語る。

「東京のランドマークでもあった『赤プリ』を壊していいのか、という声は社内にもあった。しかし、外資系の一流ホテルが相次いで都内に開業するなか、赤プリは天井が低いなど競争力を喪失し始めていたのです」

 総事業費は約980億円。3万400平方メートルの広大な敷地に「オフィス・ホテル棟」(地上36階、地下2階)と、「住宅棟」(地上24階)を建設する。また、東京都指定有形文化財である旧李王家東京邸(旧同ホテル旧館)は、建設工事に伴い移動させて保存する。高さ140m近くあった旧新館の解体工事はほぼ終了。2016年夏頃に開業予定だ。

 再開発プロジェクトは「調整」の連続だという。

「例えば、デザイナーは当然ながら見た目を重視します。しかし、その図面の通りに作ったら裏方のメンテナンス要員の動線が確保されないなどの問題が起きることがある。デザイン性を保ちつつ、それとぶつかりあう実用性も両立させる。

 プロジェクトには“思い”が必要です。関係する個々人が新しいランドマークをどんな形にしていきたいか、思いを持たなければならない。それがないとぶつかりあうこともなければ、新しいものが生まれることもありません」

※SAPIO2013年7月号