メガホンをとったクレイグ・ゾベル監督

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2004年、米ケンタッキー州のファーストフード店で発生した事件を題材に、コンプライアンス(法令順守)社会の恐怖をあぶり出した問題作「コンプライアンス 服従の心理」が、6月29日に公開される。長編2作目にして難題に挑戦し、L.Aタイムズ紙が選ぶ“2012年ブレイクした映画人”に選出されるなど注目を集めたクレイグ・ゾベル監督が、同作について語った。

ファーストフード店の店長サンドラのもとに、警察官を名乗る男から「女性店員ベッキーが窃盗を働いた」という電話が入る。ベッキーの身体検査を命じられたサンドラは、警察官の言うことならばと指示に従うが、男の要求は調査の域を超えエスカレートしていく。

遠く離れた本社や姿の見えない男と電話越しに繰り広げられる会話から、遠くの存在にコントロールされる人々の異様な姿が浮き彫りになっていく。ゾベル監督は、 “権威と服従の実験”として知られるミルグラム実験に関心を抱いていたそうで、善悪の判断を超え権威に服従してしまう現代社会の脆弱さに焦点を当てた。

また04年の事件では、容疑者の男性は証拠不十分で無罪となり、検査を指揮した女性店長は会社から解雇を言い渡されている。ゾベル監督はこれらの事実を受け、客観的に事件をとらえることで「強硬に権威を行使する者は、権威に絶対的に服従する者よりもはるかに悪いと決めつけられるか」、「すべての意思決定権を権力者に明け渡せば、事件に関与した責任を問われないのか」という疑問を提示。アン・ダウド扮する店長の「私も被害者だ」という発言などを織り交ぜ、一辺倒では解決できない事件を描いた。

ゾベル監督は、今回の事件を「リアルタイムで進行する人質映画」として映像化するにあたり、「狼たちの午後」(1975)、「ユナイテッド93」(96)など名匠の作品からヒントを得て、「自然な演技から極限の緊張感を生み出せる作品」を目指した。「電話の主を含む役者たちにその場で演技をさせ、店長のオフィスと電話の主の自宅シーンを同時に撮影しようと思った。おかげで、電話をかける主役の俳優は台本をもとにアドリブを入れることができ、それによって電話にリアリズム、ユーモア、そしてホラーの要素が加わった」と生々しい映像を収めることに成功した。

「コンプライアンス 服従の心理」は、6月29日から全国で公開。

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