2日間で200ドル以上急落した金市場。この先どこまで下がるのか!?
然したる理由もなく200ドル以上もの急落に見舞われた金市場。それは市場の環境変化を表したものなのか。だが、主要中央銀行の金融緩和によるバラマキ策は続いている。そして、この急落でアジアやインドの現物受給も増加中だ。


ドル建ての金価格が4月12日、15日の2日間で200ドル以上もの暴落となった。ニューヨーク市場でまとまった売りが出され、レンジ相場の下限1525ドルを下回ると、下げが加速。要因を探っても特定できる何かが起こったわけではなかった。拮抗していた市場センチメントのバランスがレンジ下限を破ったことで崩れ、パニック売りにつながったとみられる。

金価格を下げた市場環境をチェックすると、?年始からのFOMC(連邦公開市場委員会)で繰り返される量的緩和策の規模縮小・停止の論議、?その中で続いていたニューヨーク株の過去最高値更新、?金利を生まない金からより効率のいい対象への資金移動(金ETF〈上場投資信託〉の継続的な大口解約)、?ファンドの買い建て取引(ロング)から売り建て取引(ショート)への転換、となる。

それぞれが下げ要因ではあるが、量的緩和策停止の理由も当面は考えられず、株も高値更新の持続性に疑問があり、新興国中央銀行とアジアの買いが金ETFの売りを吸収・緩和、ファンドのショートも思ったほどの下げをつくれず……相場としては膠着した状態にあった。

だが、一番の要因はFRB(連邦準備制度理事会)による量的緩和策の終了を意味する「出口論議」の高まりだ。バラマキ策の中で金は上昇を続け、その条件が変わる環境では、弱い材料を抱えての展開といえた。つまりセンチメントに?瑕きず〞を抱えていたわけだ。その瑕を突き、不安心理をあおるまとまった売り注文が出され、節目を割れて下げるとファンドの売りプログラムが発動することになった。世界の金融環境をみると、依然としてFRBは毎月850億ドル(約8兆3000億円)の資産購入を続けている。経済規模が半分の日本銀行も、FRBに劣らぬ2年で140兆円ものバラマキ策に出るところだ。

こうした状況での?出口〞は難しく、緩和環境の解消に時間がかかるのは間違いない。今後の見通しも、暴落相場で割安とみた地金や金貨などの現物買いが日本、アジア、インド、ユーロ圏でも広く出ている。しかし、そうした買いも、先物市場でのファンドの売りに向かうには力不足だ。当面は需給に均衡する価格帯を探る展開になるだろう。それには1〜3カ月はかかり、不安定な値動きが続きそうだ。当面のレンジは1280〜1520ドル台で推移か。



亀井幸一郎(KOICHIRO KAMEI)
マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表

中央大学法学部卒業。山一證券に勤務後、日本初のFP会社MMI、金の国際広報機関WGCを経て独立し、2002年より現職。市場分析、執筆講演など幅広く活躍中。




この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。