香港のアクションスター、ドニー・イェンをスターダムにのし上げた『イップ・マン』シリーズ3作目が制作予定。だが監督変更に不満を持つドニーがプロデューサーともめ、出演は叶わないようだ。写真はドニーと妻の汪詩詩。(写真は「CNSPHOTO」提供)

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 香港のアクションスター・甄子丹(ドニー・イェン)を、スターダムにのし上げた作品と言えば2008年制作の『イップ・マン 序章(原題:葉問)』。ヒットした本作に続き、続編の『イップ・マン 葉問(原題:葉問2)』が10年に制作され、またしてもヒット。実在した伝説の武道家・葉問(イップ・マン)を演じたドニーは、香港映画界を代表する俳優となった。(写真は「CNSPHOTO」提供)

 『イップ・マン』シリーズのプロデューサーである、黄百鳴(レイモンド・ウォン)は3作目を作るべく、制作費12億元(約190億円)を準備中とのこと。李小龍(ブルース・リー)を中心にしたストーリー展開を考えているが、師匠であるイップ・マンも当然ながら重要な存在。ウォン プロデューサーはドニーに三度イップ・マンを演じてほしいとオファーしたが、ドニーはそれを拒否。2人の間でちょっとしたトラブルが起こっているそうだ。

 メディア取材によると、ドニーの出演拒否理由は、監督が1〜2作目でメガホンをとった葉偉信(ウィルソン・イップ)ではないこと。またレイモンドは、ドニーが高額な出演料を要求することに、頭を悩ませているという。

 インタビューに応じたドニーは、「僕は先輩であるレイモンドさんを、尊重しています。でも出演料は、ほかのプロデューサーに比べると低い。何年たっても値上げしてくれないのは、周知の事実です。それでも『イップ・マン3』に出演したくて、スケジュールを調整しましたが、イップ監督が担当しないことが不満。1〜2作目で一緒に作品を作り上げましたし、同じ理念を持っています。作品の魅力を大切にして、観客の期待を裏切らない3作目を作らなければなりません。だからイップ監督に撮ってほしいのです」と主張した。

 そしてプロデューサーのレイモンドは、「今年はドニーもイップ監督も多忙で、スケジュールが取れそうにありません。イップ監督から代理は黄子桓(エドモンド・ウォン)監督でと指名がありましたが、彼は今年結婚の予定があり、撮影スケジュールがどの位組めるか不明。今年が無理なら、全員が時間のある来年になるかもしれません。そして出演料については、ほかのプロデューサーと同じ金額を渡していますし、ドニーの高い出演料を指摘したことはありません」と、ドニーの話を真っ向から否定した。

 続けてコメントを求められたイップ監督は、「イップ・マンは大好きな作品なので、絶対に自分で撮りたい。でもプロデューサのレイモンドは、僕を起用しないのです」と説明。代理監督の推薦はしていないと、明かした。ドニーとイップ監督の気持ちは共通しているようだが、肝心なのはレイモンド プロデューサーの思惑。『イップ・マン3』が幻になることなく、無事に制作できるのか。それともドニーではない誰かが演じるのか……注目を浴びる作品になりそうだ。(編集担当:饒波貴子・黄珮君)