カンボジア初の国内向けメード派遣業者「ミンホ―・ホームサービス」社【撮影/木村文】

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朝日新聞のマニラ支局長などを経て2009年に単身カンボジアに移住。現在は現地のフリーペーパーの編集長を勤める木村文記者。今回は、急増するカンボジアの「海外出稼ぎ」の現状と、国内のメード、ベビーシッター不足を補い安心して働ける環境を提供することを目的にスタートした、カンボジア初の家事労働専門人材派遣業者のレポートです。

高賃金に魅かれ、隣国タイヘの出稼ぎが急増

 世界銀行などの調査によると、国外で就労するカンボジア人から国内への送金額が2012年、約2億5600万ドル(約256億円)にのぼった。この額はカンボジアの国内総生産(GDP)の約1.8%を占めるという。

 移民労働者から国内の家族への送金額は、その国の人々がどれだけ「海外出稼ぎ」に頼っているか、というひとつの指標にもなる。海外からの送金額のGDP比を、東南アジア10カ国と東ティモールで比べてみると、1位はフィリピン(10.7%)、ベトナム(6.6%)、東ティモール(2.0%)と続き、カンボジアはなんと4位に浮上していた。

 この結果は、私にとって驚きだった。カンボジア人は、海外出稼ぎが苦手なのではないか、と思っていたからだ。フィリピン人のように英語を自由に操れるわけではない。国内は順調に経済成長し、雇用も増えているはずだ。はにかみやで、おとなしいというイメージの人々が、積極的に国外で出ていく要因は小さいと思っていたのだ。

 しかし、カンボジア政府によると、国外で合法的に働くカンボジア人は2009年の約5万3000人から、2012年には約13万人に倍増している。特に最近は、隣国タイへの就労者の急増が目立つ。

 タイでは2012年4月から最低賃金が段階的に引き上げられており、今年からは首都だけでなく全国で一律1日300バーツ(約1000円)になった。非熟練労働者の1日当たりの最低賃金でいえば、カンボジアの2倍以上といわれる。カンボジアから、陸続きの隣国であるタイへの出稼ぎは、農業や漁業の季節労働も含め以前からあったが、カンボジア国内の賃金との格差が広がるにつれ、労働力の流出は加速している。

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