ほとんどのタイ人は、てっとり早い現世と来世でのご利益や平安を祈願して徳を積む(タイ語で「タンブン」という)。 その行為の実態は、寺への「お布施」である。ひょっとしてこれって究極の保険? 現世利益がもたらされる保証はないのに、だれもがお布施する。だから保険金も払わない?というのはうがった見方?【撮影/『DACO』編集部】

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バンコク発ビジネス・生活情報誌『DACO』編集部のタイ人経理部長、ブン(女性)が日タイの架け橋となるべく日本人からの質問に答えます。

読者からの相談:外国人が加入できない保険に加入していた
(前略)私と妻は日本人で共働きで、5歳になる息子がおります。私どもの勤務先では家族(息子)の健康保険は負担してくれないので(中略)、先日、ショッピングセンターを歩いていましたらタイの大手銀行の支店内で子供用保険の広告が出ており、(中略)英語でコミュニケーションがとれる女性スタッフが対応してくれ、私たちのニーズに沿うものでしたのでそのまま申し込みをしました。(中略)

 約2カ月後、息子がB型インフルエンザにかかり、かかりつけの病院に2日入院しました。病院の職員になにか保険に加入しているか聞かれたので事情を説明すると(中略)、まず自分で治療費全額を病院に支払い、領収書と診断書を保険会社に送ることになると言われたので、2万バーツ(約6万6000円)弱の治療費をとりあえず支払いました。

 その後、保険カードに記されている番号に電話したところ、保険会社のスタッフに国籍を聞かれ答えると、「外国人は加入できない」と言われてしまいました。はああああ?
 こちらは2カ月前に申し込んだ際、息子の出生証明書(タイで生まれました)とパスポートのコピーも提出してあるのです。

 それはないだろうと思い、「保険料はちゃんと月々払っているし、日本人であることも告げて外人でもいいか確認してありますし、申し込んだのは2カ月も前。外人が申し込みできないなら窓口でそう言うべき、そんな一方的に契約を破棄されるわけにはいかない」と主張。しかし、向こうは「外人だからダメ」の一点張り。
 その後、保険会社と申し込みをした銀行の支店からも電話がかかってくるが、同じことの繰り返し。どうやら今まで支払った保険料を返還することで決着を付けようとしているみたいなのですが、一回締結した契約を一方の都合で破棄しようという、おおよそ考えられないことを大手企業がしているわけです。

 今回はインフルエンザで2日の入院でしたので(中略)、しかし、もっと大病だった場合、また大けがや交通事故などにあっていた場合、保険金を請求してこのように拒否されたらと思うとぞっとします。
 タイ人同僚にも相談してみましたが、ほとんど私の主張に同意してくれています。こちらとしてはこの契約満了日(1年後)まで継続してくれればあとは他を探そうと思いますが、この場合どのように対処したらいいでしょうか。
 どうか取り上げていただければと思います。よろしくお願いいたします。(匿名で失礼します)


【ブンからの回答】

契約を継続せず、こちらから攻める

 保険の条件が、「外国人は加入できない」というのであれば、加入させること自体、契約に反しています。

 これまで支払った保険料の金額と今回かかった治療費分の保証金2万バーツ(約6万6000円)、および迷惑代としていくらかをもらうようにして、この契約とは縁を切ってください。私ならまず10万バーツ(約33万円)ぐらいの迷惑料をふっかけます。

 保険金に関するトラブルは、タイの消費者生活センターに相談できます。タイ語で「ソー・コー・ポー」と呼びます(コールセンター 1166)。

 または保険局です。こちらは、タイ語で「コー・ポー・ポー」と呼びます(コールセンター 1186)。

 保険局に寄せられるクレームの多くは、保険会社が保険金を払わない、あるいは保険会社が契約内容を履行しない場合です。受け付けるだけで放っておかれることはありません。連絡してみて!(ブン)

保険の理念を理解していないトラブルの数々

 タイでは、各種保険はもとよりクレジットカードの盗難補償など、保険金受取りの段になるとトラブルが発生することがままあり、保険の理念をまったく理解していないのではないかと唖然とすることがある。

 保険とは「備えあれば憂いなし」という突然の出費に対応する投資なのか、不安につけこむビジネスなのか――。

(文・撮影/『DACO』編集部)