さらに、高崎市在住の40代男性は、「(1)=家から比較的近くて便利なので、たまに利用している。(2)=ビックはサービス面、ヤマダは価格面で魅力があり、どちらとも言えない」と答えた。

十数人に取材したものの、単独でのデータ収集では明確な答えは出そうにない。そこで今回は、かつてヤマダとビックに関する動向を調査していたという前橋市在住の自営業T氏に事情を聞いてみた。

「ヤマダは地元志向、ビックは都市志向の人が主な支持者となっているようです。ただし、これはあくまでも過去の調査ですので、家電業界も変化しています。ヤマダが都心への進出を強化すれば、ビックが(山口店など)地方に出店したりコジマとの関係を強化したりと、両社の特色は均等化の傾向が強くなっているようです」。

県内にはヤマダの店舗は「LABI1高崎」を始め16店舗ある。これに対してビックは「高崎東口店」のみ。このため、県民のヤマダ支持者の絶対数はビックのそれを上回っている可能性が大きいようだ。しかし、ビックは高崎駅東口再開発に伴って「高崎東口店」の移転が確実視され、子会社となったコジマなどとの連携で地方強化も鮮明となっている。今後両社は、本県においても顧客層の奪い合いを強化するものと見られる。

今回は、ヤマダとビックの“支持者”に焦点を当てて取材をしてみた。しかし、創業からの成長を知る県民にとって、ヤマダとビックは誇りであり、これからも両社のめざましい活躍をひそかに期待しているということは疑いの余地がないだろう。

なお、コジマやケーズデンキもこれまで県内出店を盛んに進め、今後も条件次第で新規出店をするであろうが、この両社についても県民にとってはおなじみの顔ぶれであり、多くのファンを有している。

現在、コジマは6店舗、ケーズは9店舗が県内で営業しており、近年はケーズの勢いが目立つ。しかし、かつてヤマダ電機本店(前橋市日吉町)と覇権を争って、壮絶な顧客獲得合戦を繰り広げていたコジマの「NEW日吉店」(同)も健在だ。

県内では引き続き家電量販店の競合は続くであろうが、これに伴って県民の利便性は、ますます向上していくことは間違いないだろう。