『手塚治虫とキャラクターの世界』(手塚プロダクション/三栄書房)
手塚漫画人気6作品の第一話と徹底解説収録の完全保存版。

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2013年は手塚治虫の生誕85周年。
6月29日からは東京都現代美術館で 「手塚治虫×石ノ森章太郎 マンガのちから」展が開催され、7月6・13日には「ドキュメンタリードラマ 手塚治虫×石ノ森章太郎」がNHK BSプレミアムでオンエア。爆笑問題の太田光が手塚治虫役を、田中裕二が石ノ森章太郎役を演じることが話題になっている。
また、来月12日からはなぜか「くら寿司」で手塚マンガ400巻が読み放題になったりと、“手塚治虫”はあいかわらずの人気コンテンツだ。

そうは言っても、平成元年に亡くなってからもう四半世紀。
実はまだ読んだことない! という若い読者も多いのではないだろうか。
そんな方にオススメしたいのが、ムック本 『手塚治虫とキャラクターの世界』だ。
[完全保存版]と銘打たれているが、看板に偽りなし。簡潔なのに濃厚な一冊となっている。
というのも、「手塚作品」と聞いて誰もが思い浮かべる代表6作品の冒頭が、丸々掲載されているのだ。

『鉄腕アトム』(第1話〜第3話)
『ブラック・ジャック』(第1話)
『ジャングル大帝』(第1話〜第2話)
『リボンの騎士』(第1話〜第4話)
『火の鳥』(黎明編第1話)
『ブッダ』(第1話)
主要キャラクター一覧や、押さえておくべきポイント&うんちく、制作背景もまとめられているので、これ一冊で手塚治虫について知ったかぶりができてしまう。

上記6作品以外の、例えば『どろろ』『三つ目がとおる』『ふしぎなメルモ』『マグマ大使』『アドルフに告ぐ』……などの手塚作品に関しても、イラストとともにあらすじが紹介されているので、Wikiなんか見るよりもよっぽどわかりやすいこと間違いなし!

また、巻末には藤子不二雄A、松本零士、永井豪、田中満智子、さいとう・たかを、古谷三敏という、生ける伝説漫画家たちと手塚治虫の関係性がインタビューやイラストで紹介されている。

デビルマンはアトムと同じ悩めるヒーローの系譜、と語る永井豪。
5歳の時に15歳の手塚治虫と運命の邂逅をしていたことを明かす、松本零士。
手塚治虫と赤塚不二夫、2人のアシスタントを務めたから『ダメおやじ』が生まれた、古谷三敏。etc.

レジェンドたちの言説の中でも特に注目すべきは、さいとう・たかを。
さいとう・たかをと手塚治虫と言えば、さいとうがデビュー前に『漫画少年』に投稿した作品を手塚治虫が酷評した、というのは有名なエピソード。本書でもさいとうは改めてそのエピソードを披露し、「同時代の漫画家で、ぼくだけが先生を“信仰”していなかった」と語る。
その一方で、漫画に興味をもったキッカケが手塚治虫の『新宝島』であり、当時住んでいた宝塚の手塚邸に押しかけた(でも、居留守を使われた)縁を紹介し、次のようにも語る。
「ぼくは紙で映画を作る感覚で作品を制作しているから、脚本を作る人間と絵を描く人間を分けている。だからこそ、ずっとひとりでマンガを作り続けた手塚先生が、どれほどすごい漫画家なのかわかるんだ」

個々のエピソードは、手塚治虫だけでなく「漫画史」を深く知る上でも非常に貴重なエピソードが多い。

他にも、戦中に描かれた未公開作品『南方基地』が袋とじで、さらに未公開原画も30点掲載。
手塚初心者だけでなく、昔からのファンも納得できる一冊になっている。
さらに今なら初回限定特典として、 特定書店での購入時のみ、『リボンの騎士』と『ジャングル大帝』の単行本未収録原画集が付いてくるらしい。
らしい、というのも、私はコンビ二で買ってしまったから。
限定特典、いいなぁ。
(オグマナオト)