雑談で場をつなぐ、上手に下ネタを言う −「会話がとぎれない、場を盛り上げる」5カ条【3】

 「体形の話題はOK、頭髪はNG」

これは、お客相手に冗談を飛ばすときに、ココイチ創業者の宗次氏がいつも心がけていることである。

「きのうも某大手食品会社の会長さんが訪ねてこられましたが、ぽこんとしたお腹をしていらっしゃる。それをちょっと話題にしました」

よく口にするのは、

「そろそろ生まれますか?」
 「予定日はいつですか?」

人によっては、

「いやあ、来月なんです」

などと返してくれる。

近しくない間柄で禿げ頭を話題にするのは失礼だが、「本当の仲間」を相手にするときは別である。

「床屋代は半分で済むんですか?」
 「まさか。ふつうに払いますよ」

パーティジョークの定番といえば猥談だ。しかし、よくよく注意しないと雰囲気をぶち壊しにしてしまう怖さがある。三木卓氏が言う。

「とくに女性相手にセクシャルな冗談を言うのは難しい。高級技です。でも、上手に言えば女性がいちばん喜んでくれるのが下ネタです。さらっと、うまく言えればいい。僕も修業が足りないから、それはできませんけれど(笑)」

小泉純一郎元首相は猥談の名手。自民党総裁選に出馬するかどうかを取りざたされていたときに、こう漏らした。

「田中真紀子さんに『立つの、立たないの?』って言われてね。そんなの、女性に言われたって困るよ」

もっとも、三木氏によれば小泉さんも失格だ。

「女性の前で『立つの、立たないの?』は、言いすぎです。大事なのは、相手が困るような冗談を言っちゃいけないということです。それを聞いて自然に笑い始めるような内容でないと」

政治の話題も難しい。たとえば接待の席で、

「今なら原発の是非について話すのは難しいと思います。大企業の人は、仕事上の関係もあって僕らとは意見が違ったりしますから。気をつけて口を開かなければいけないですね」(三木氏)

一方、次のような小話は無条件にほほえましい。すべて宗次氏の体験談だ。

「壱番屋が東証一部に上場したとき、ある経営者に『一部上場しました』と報告したら、その人は『一部だけ上場して、あとはどうするんですか?』。『今日はご説明しません』と答えておきました」

「今朝、うちの嫁さんに言われました。『このラ・フランス男!』。『どういうこと?』『洋梨(用なし)』」
 「『あーあ、もう青森と山形の間』『どうしたの?』『秋田(飽きた)』」

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壱番屋創業者特別顧問 宗次徳二
1948年生まれ。生後すぐに孤児院へ預けられ、宗次家の養子に。愛知県立小牧高校卒業後、大和ハウス入社。その後独立し、78年カレーハウスCoCo壱番屋創業。98年会長、2002年より現職。07年クラシック専門の宗次ホール設立、代表に就任。著書は『日本一の変人経営者』ほか。
詩人、作家 三木 卓
1935年生まれ。幼年期を満州(中国東北部)で過ごす。59年早稲田大学文学部露文科卒。71年『わがキディ・ランド』で高見順賞、73年に『鶸(ひわ)』で芥川賞、97年『路地』で谷崎潤一郎賞など受賞歴多数。99年紫綬褒章、2011年旭日中綬章を受章。児童文学も多く手がける。

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(面澤淳市=文 的野弘路、山口典利=撮影)