謝罪する相手が男性か女性かでどう変わるか

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まず、謝罪相手が男性の場合。男性は総じて怒りの持続力がそれほど長くありません。立場上怒らなくてはいけない役割を演じている部分も大きく、事態の収拾方法、落とし所を考えながら怒っているので、こちらも謝りながらも、冷静にそのベクトルを探っていきましょう。

また、会社のエネルギーの使い方で誠意を見るという傾向が男にはあるので、大勢で謝罪に行くのも効果的です。当然ですが、部下が起こしたミスも、「自分の管理責任です」と潔く謝りましょう。「この人も立場上、大変だな」と感じてもらうのが有効です。

できれば、「寛大に許してやる俺って、なんてできた人間だろう」「そろそろ許したほうが株は上がるんじゃないだろうか」という気持ちに誘導しましょう。「○○さんが担当で本当によかった。ほかの人ならこうはいかない。ご恩は決して忘れません」と相手が特別だと持ち上げることも忘れずに。

手土産は相手から見えない位置に置いておき、退席するときに渡します。はじめからモノで懐柔しようとしているのか、と思われたらややこしくなります。

では、女性の場合はどうでしょう。男性に比べると会社の立場というより、一所懸命仕事をしている自分のプライドが傷つけられたことに怒る傾向があります。

まず、手土産はさりげなく見える位置に。手ぶらではない(常識はある)とアピールしましょう。

■謝罪はビジネスチャンス。誠意を持って挑もう

相手が取り乱している場合、まずはその怒りを肯定してください。

「お怒りはごもっともです。○○さんの感情を害してしまって、本当に申し訳ありません」とひたすら謝りましょう。

そして相手に言いたいことを全部吐き出してもらいます。何度同じことを繰り返されても、「それはさっき聞きました」などと口が裂けても言ってはいけません。

謝りながら、なんとか相手を褒めるポイントを見つけてください。

「そこに気づいていただけるのは〇〇さんだからこそ。ご指摘いただき非常にありがたいです」と男性と同様、やはり相手を持ち上げながら事態の収束を図ります。

泣き出されてしまうこともあるかもしれません。そういうときはひたすら共感作戦です。悲しい→こちらも泣きたい。腹が立つ→自分を殴ってやりたい。期待していたのにふがいない→期待に応えられず情けない。というように「あなたのおっしゃることはまさにその通りだ」と仲間意識を醸し出す方向での対応が効果的です。

ただ、部下の女性がミスをして、その謝罪の相手が女性という場合はちょっと複雑です。若くて可愛かったりしたら、それだけで憎しみの対象。年上の女性としては、女性としてそれなりの苦労をしながら今日まで仕事を続けてきたという自負がありますから「あんたみたいな若いのがいるから、女は苦労するの。そんななめた気分で女性が仕事をやっていけると思っているの?」的にアタリが強くなることは覚悟してください。

女性同士の場合、身に覚えがあるから、ダメなところが余計に目につく。腹の立つポイントを上手に探してしまうようです。

こんなときは「経験がないもので、許してやって」的な部下をかばう態度はよくありません。「今回のことがいい経験になったと思います。どうぞこれからも教えてやってください」と、この若い奴を一緒に鍛えましょう、と共感を促すほうがいいと思います。

謝るというのは屈辱的で、非生産的な行為に見えますが、謝罪をきっかけに仲がよくなったり、謝りっぷりで評価が上がることは、どんな仕事にもあります。

怒りを逸らしたり、頭を下げる時間を短くするテクニックも必要かもしれませんが、できれば謝ることで信頼を築き、後々の仕事に繋げることこそ目指したい境地です。ミスは必ず起きるもの。謝りにいくのは一石何鳥にも値するようなチャンスだと、役職者は張り切って謝りにいってほしいですね。部下からの信頼も得られます。

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コラムニスト 
石原壮一郎
1963年、三重県生まれ。近著に『職場の理不尽−めげないヒント45』(岸良裕司と共著 新潮新書)。2012年「伊勢うどん友の会」を結成し、応援活動中。

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(コラムニスト 石原壮一郎 構成=プレジデント編集部)