中国の金融事情について

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中国では24日、金融株を中心に主要株価指数が大きく下落しました。例えば、上海総合指数は前日比▲5.3%となり、昨年12月3日以来、約6ヵ月半ぶりの安値となりました。この主な背景として、中国人民銀行(中央銀行)が金融緩和に慎重な姿勢を示したことに伴なう、信用収縮懸念の急速な高まりなどが挙げられます。

中国の短期金融市場では、6月上旬以降、銀行間の取引金利が急上昇し、資金繰りに窮する銀行が出ているとの懸念も生じているものの、中国人民銀行は資金供給を見送り、金利上昇を容認してきました。同行は24日、全般的な流動性は妥当な水準にあるとの見解を示した上で、銀行に融資業務の拡大やそれに関連したリスクを管理するように求め、金融緩和に慎重な姿勢を鮮明にしました。

こうした背景には、経済成長率が鈍化する一方で、社会融資総量(広義の貸出金の総額)が高い伸びを示すなど、実体経済と金融取引との間に拡がっているかい離を当局が問題視していることがあると指摘されています。同国では、規制が厳しいことなどを理由に、銀行を介さずに資金をやり取りする動きが活発化し、過剰な貸出などへの懸念につながっている状況です。

中国政府はここ2、3ヵ月、そうした資金のやり取りの規制・改革を試みてきましたが、その取り組みを強化すべく、銀行間取引市場での金利上昇の容認という、より強力な武器を用いることを決断したようです。

同市場は、銀行などの金融機関が、日々の資金の過不足を調整するために、相互に短期資金などの取引を行なう市場であり、金融システムに血液を循環させるような重要な機能を負っています。その市場に不透明感が漂い、流動性が低下するようなことがあれば、経済に影響が及ぶ可能性が懸念されます。

中国人民銀行は23日までに開いた金融政策委員会で、一部で見られる過剰な貸出が改められない限り、銀行間取引市場での金利上昇を容認することを確認した模様です。なお、24日には、同市場の金利が低下したものの、必ずしも全ての銀行が必要な資金を同市場で調達できた訳ではないとみられます。

弊社では、中国は景気の急失速こそ免れるものの、年内の成長率に大きな振れが生じる可能性があるとみています。同国は、多くの新興国でここ数週間見られた、米国での量的緩和策の縮小懸念を背景とした市場の動揺の影響を免れてきた模様ですが、上記のように、他の新興国とは異なった独自の問題を抱えています。これは慎重に対処すべき問題であると考えられます。

中国人民銀行や政府が、24日の市場の動きを見て、十分な効果があったと満足し、さらなる締め付けに踏み切らない場合、従来よりペースが幾分落ちるにしても、貸出が伸び続け、市場を取り巻く懸念がむしろ大きくなる可能性もあることから、今後の動向を注視する必要があります。

チーフ・グローバル・ストラテジスト ジョン・ヴェイル

(※上記は過去のものおよび予想であり将来の運用成果等を約束するものではありません。)

(2013年6月25日 日興アセットマネジメント作成)

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