日本のテレビ放送は今年60周年を迎えた。そしていま幾度目かの変革期を迎えている。モノクロからカラーに、ブラウン管からプラズマや液晶に、アナログからデジタルに、そして、携帯電話がスマートフォンへと進化したように、“スマートテレビ”の幕開けだ。

 実際にスマートテレビへの期待は高い。今後、利用してみたいという世帯は39.0%あり、年齢別にみると20〜49歳の世帯主がいる世帯では5割以上が「利用してみたい」としている。(総務省「平成24年通信利用動向調査」調べ)

 今年1月、毎年アメリカで開催される世界最大の国際家電見本市CESにおいて、各社からさまざまなスマートテレビの新製品が披露された。中でも注目なのがパナソニックの動向だ。

「マイホーム」や「音声操作などの新機能を備えたスマートビエラを北米や日本市場に向けて投入。さらに昨年、LG電子やTP Vision、東芝らにより設立された、スマートテレビの発展を目指し、共通のエコシステムの構築などを目指す「Smart TV Alliance」への加入を発表している。

 国内でも1990年代半ばからウェブ検索できるようなテレビはあったが、利用率は平成24年末の時点で4%にすぎない。(前出「平成24年通信利用動向調査」調べ)

 商品ジャーナリストの北村森氏はこう話す。

「テレビの前に座ると人は保守的になる。PCやスマホやタブレットは、立ち上げるだけでは何もしてくれない。ユーザーが能動的にアクションしてはじめて情報が得られる。一方で、テレビは電源を入れるだけで情報が自動的に流れてくるものという固定概念がある。自ずとユーザーは受け身になる。

 かつて“画面”といえば一家に1つ。家族みんなで1台のテレビを見ていた。それが一人に1台となり、さらにスマホやタブレットの台頭で複数所有があたり前になってきた。画面の老舗であるテレビは、その在り方を再定義するときがきているのです」。

 高機能化、また4K、8Kといった新放送規格によるスーパーハイビジョン化が進む一方で、それらは多くのユーザーにとって宝の持ち腐れになる可能性がある。北村氏は続ける。

「カタログにはたくさんの機能やサービスがうたわれているが、これもあれもできますではもう伝わらない。大切なのは、いかに便利で楽しく、使いやすい操作系で、スマートテレビという言葉を知らない人でも使えるものであること」。

 今年の新製品群が次々と発売され競合が高精細化を前面に押し出す一方、パナソニックは使い勝手の向上に注力している。例えばボタンの数が増えた従来型のリモコンとは別に、音声操作可能なタッチパッドを用いたシンプルなものを用意。マイクを内蔵したリモコンに話しかけるだけで文字入力やウェブ検索を可能にした。

「テレビでインターネットが普及しない原因を調べてみると、文字入力が面倒という声が圧倒的に多かった。今回『スマートビエラ』のために開発した音声操作は、テレビでは日本初の機能です。曜日、時間、番組名など、さまざまなキーワードで番組表を検索することも可能。これまでのリモコン操作よりも圧倒的に素早く、ストレスフリーで予約操作が可能です」(パナソニック CMJ本部コミュニケーショングループ美濃部氏)。

 さらには、PCのトップ画面のように、テレビに気に入ったアプリやウェブサイトを配置し自分専用にカスタマイズできる「マイホーム」機能を搭載。家族それぞれのページを作って登録でき、VT 60 シリーズの場合テレビの前に立つと内蔵カメラが顔を認識し、あらかじめ設定した個人のホーム画面へと自動的に切り替わるのだから驚きだ。

「VT60シリーズでは、プラズマの利点を生かし、電子タッチペンで画面に直接文字を入力することができます。メモがわりに使って家族間のマイホームでシェアもできますし、SDカード経由か当社のアプリを使えばタブレットなどのモバイルデバイスに格納された写真や動画を、指1本でスワイプするだけでテレビに表示させ、写真に文字などを書き込みふたたび保存することも可能です」(前出・美濃部氏)。

 これは子供の投球フォームやお父さんのゴルフのスイングチェックなどにも大いに活用できる機能だ。

「テレビには大画面を生かした活用法がある。ユーザーはスマホやタブレットをそれぞれの場面で自然に使い分けている。奪われた視線を取り戻すという発想ではなく、いかに連携していくかが重要」(前出・北村氏)

 スマートテレビは、情報入手経路への新たな入口であり、これからもう一度家のリビングの核となる画面として再定義されるはずだ。