[其ノ四 注目商品 医療保険対決編 健康還付給付型 VS. 一般の掛け捨て型]老後に安心感大で健康還付給付型
生命保険でめいっぱい、医療保険までは手が回らないという人が多い。しかし、70歳になると払った保険料を全額キャッシュバックという新商品が登場!


70歳までに32.8日の入院を3〜4回すると掛け捨て型が有利だが

東京海上日動あんしん生命が今年1月、ユニークな医療保険を発売して話題となっています。商品名は「メディカルKit R」。業界初の機能を備えた、まったく新しいコンセプトを持った医療保険とうたっています。

この商品の第1の特徴は、70歳を迎えると、それまで支払った保険料全額を「健康還付給付金」として払い戻すというものです。ただし、70歳までに入院給付金などを受け取っていた場合は、その分の金額が差し引かれます。

第2の特徴は、70歳以降も保障を継続する場合、70歳時の保険料が再計算されてアップするのではなく、加入時の保険料を払い続ければいいというものです。

「20代から40代くらいまでは入院するケースが少なく、早めに医療保険に加入して病気やケガに備えようという人は多くありません。しかし、入院リスクが高まる年齢になってから新たに医療保険に加入しようとすると、保険料が高く、健康状態によっては加入できないケースも出てきます。そんな中で発売されたこの保険は、今までにないインパクトを持った商品といえるでしょう」とファイナンシャル・プランナーの中村宏さんは言います。

メディカルKit Rの2つの特徴を一般の掛け捨て医療保険と比べながら具体的に考えてみましょう。今回は健康還付給付型と一般の掛け捨て型の対決です。一般の掛け捨て型の代表選手は、安価な保険料で定評のあるオリックス生命の「CURE」。

まず、30歳・男性で1日当たりの入院給付金額1万円を条件に月額保険料を比較すると、メディカルKit Rのほうが1950円高くなります。ちなみに、健康保険財政の悪化により将来的に医療費の自己負担額がアップする可能性も考慮し、入院給付金日額は余裕を見て1万円としました。

次に、男性の平均寿命80歳までに支払う保険料の合計額を計算すると、メディカルKit Rは309万円、CUREは192万円。メディカルKit Rが117万円多いのです。

しかし、70歳までに一度も給付金を受け取らなかった場合、メディカルKit Rでは70歳までに支払った保険料の総額247万2000円がキャッシュバックされるので、実際の負担は70歳から80歳までの保険料61万8000円です。

70歳までにメディカルKit Rから117万円(=309万円−192万円)を超える給付金を受け取った場合は、70歳時のキャッシュバック金額が少なくなって、CUREのほうが実質的な保険料負担は少なくなります。

ただし、70歳までに117万円といえば、厚生労働省の2011年「患者調査」での平均在院日数32 ・8日の入院を3〜4回する計算になります。手術なら10回以上です。



70歳時に戻るお金で以降の保険料が払え、手元にもかなり残る

メディカルKit Rは、掛け捨て型の医療保険よりも毎月の保険料が高くなります。したがって、子供の教育費や住宅取得のための自己資金作り、住宅ローンの返済など、医療保険以外に必要不可欠な支出があり、少しでも家計を切り詰めたいのであれば、掛け捨て型で保障に特化したタイプがいいでしょう。

またメディカルKit Rは、70歳にならないとお金が戻ってきません(基本保障部分については解約返戻金はないが、健康還付部分については70歳未満でも支払保険料総額より少ない金額だが解約返戻金がある)。さらに、利息がついてお金が増えるわけではないので、貯蓄についての機能は期待できません。

「しかし、老後に戻ってくるお金は使いでがあり、ありがたいのではないでしょうか。70歳以降の保険料はすべて戻ったお金から賄えますし、70 歳時点で入院給付金日額を5000円に減額するなどすると保険料が安くなり(先のケースでは月額2880円)、手元に残るお金が多くなります」(中村さん)

というわけで、今回の対決は健康還付給付型に軍配!



【今月の対決立会人】
中村 宏(HIROSHI NAKAMURA)
ファイナンシャル・プランナー

大学卒業後、ベネッセコーポレーション入社。2003年、FPオフィスワーク・ワークスを設立し、個人相談、セミナー講師、執筆などで活躍中。



この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。