ワタミの渡邉美樹会長が、夏の参院選で自民党から出馬するにあたって、「ブラック企業」との批判に反論しています。

「賃金や離職率、時間外労働時間などいずれの基準でも飲食サービス業の平均を上回っており、ブラック呼ばわりされるいわれはない」という渡辺氏の説明に納得するかどうかは別にして、ありもしない理想の会社を基準にして「反社会的」のレッテルを貼るのがフェアでないのはそのとおりでしょう。徒手空拳から一代で会社を興すのが“普通”のひとではないのは当たり前で、「365日24時間死ぬまで働け」と社員を叱咤する中小企業のオーナー社長はいくらでもいます。ブラックかどうかは、あくまでも法に則って判断するべきです。

 ところが困ったことに、この「正論」が問題をさらにややこしくしています。

 ブラック企業は、終身雇用の代償として慣習化していたサービス残業などを利用して、社員を最低賃金以下で働かせています。サービス残業が違法なのは明らかですが、この悪習は日本の社会全体に広まっているので、これを基準にすると大企業ばかりか官公庁まですべて“ブラック”になってしまいます。その実態を論じるには、ブラック企業のなかから「ほんもののブラック」を見つけ出さなくてはなりません。

 リトマス試験紙のひとつとして考えられるのが、正社員のアルバイト化です。

 飲食業界のブラック企業は、残業代をいっさい払わずに正社員を使い倒すことで人件費を抑えようとしています。当然、こんな労働環境では働く気はしませんから、新卒で入社した社員の大半は半年もたたずに辞めていきます。

 スタッフが次々といなくなれば店を回していけません。ハローワークに求人を出したとしても、正社員になりたい若者が押し寄せてくるわけではないからです。

 こんな時、困り果てた店長はどうするのでしょうか。実は、辞表を出した社員に「アルバイトで残ってくれないか」と懇願しているのです。

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