韓国監査院は21日、同国の農林水産食品省(現・農林畜産食品省)が2009年から12年にかけて推進した「韓国料理の世界化」事業で、予算の流用や無駄遣い、繰り越しなど問題があったと発表した。複数の韓国メディアが報じた。

 韓国料理の世界化事業は、李明博(イ・ミョンバク)元大統領が在任中、金潤玉(キム・ユンオク)夫人が主導、推進した。

 監査院によると、大統領夫人の“肝いり事業”との認識があったことから、初年度(09年)に100億ウォンだった予算は11年には325億5000万ウォンに急増し、09年から12年までの間に編成された予算は931億ウォン(約78億円)に上った。しかし、予算の執行率は68.7%で、事業の準備不足により予算の投入先が決まらず、関係ない事業への転用や繰り越しがあった。予算を過剰に見積もっている事業も確認された。

 農食品省は米国の雑誌に女優ブルック・シールズが、スーパーでコチュジャン(唐辛子味噌)を選んでいる写真を使い、「シールズがコチュジャンを購入する場面が報じられ、現地で話題を集めている。現地メディアはシールズが韓国料理が好きで、チャプチェやビビンパの食料を直接購入したと報じた」と事実ではない内容を報道資料として配付した。農食品省は“虚偽報道”の広報効果を7億ウォン以上と算出し、広報事業に予算253億ウォンを投入していた。

 また、海外向けの韓国料理広報サイトを複数制作・運用したり、韓国料理のスターシェフ養成事業で基準に満たない人を採用するなど不適切な運用があった。

 韓国料理の世界化事業の予算で毎年開催されていた「大韓民国食品大展」も、韓国料理と直接関係ないか関係が薄いイベントが42%を占めていた。(編集担当:新川悠)