企業の経営者とは、どのような人物がなるのだろうか。欧米の大企業の場合と、日本の場合はずいぶん違うという。真のグローバル企業の強さの源でもある、トップの選ばれ方について大前研一氏が解説する。

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 欧米の大企業はリーダーシップのトレーニングが進んでいるので、大前提としてサラリーマンから叩き上げの“プロフェッショナル・リーダー”が経営者になる。たとえば、GE(ゼネラル・エレクトリック)は強烈なリーダーであったジャック・ウェルチからジェフリー・イメルトに、IBMは中興の祖と崇められたルイス・ガースナーからサミュエル・パルミサーノにCEOがバトンタッチされ、後継者はいずれも順調に業績を伸ばした。

 これら真のグローバル企業は、将来のトップ候補200人くらいを5年なり10年なりのきちんとしたキャリアパスで育成し、最終的に5、6人に絞り込む。その人たちをさらに5〜10年競争させて、生き残った1人をCEOに選ぶ。CEOになれなかった人たちも他の企業から引く手あまたで、自動的に破格の待遇で各社のトップに迎えられる。

 別言すれば、欧米の大企業に世襲や順送り人事はあり得ないのだ。もしそういうことをしたら、株主に猛烈な批判を浴びて株を投げ売りされるだろう。実際、マイクロソフトのビル・ゲイツは自分の子孫に継承しなかったし、仮にアップルのスティーブ・ジョブズが長生きしていたとしても同じだったと思う。

 世界最大の投資持株会社バークシャー・ハザウェイの会長ウォーレン・バフェットも子孫に継がせることはないと明言している。アメリカのグローバル企業のレベルが上がる理由が、ここにある。

※週刊ポスト2013年6月28日号