株式市場の乱高下が続いているが、ここ数年減少傾向にあったIPO(新規上場)件数は、回復傾向が顕著。売買回転率も2004〜2006年のIPOバブル並みの水準となっている。市場が沸騰するなか、IPO株へどう投資するのが得策なのか。投資情報サイト「東京IPO」編集長の西堀敬氏が解説する。

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 今年のIPO件数は、5月半ばまでに15件を数えた。特筆すべきは、その15銘柄について、上場後についた初値が公開価格より上回れば勝ち、下回れば負け、同値なら分けという基準で計算した「勝率」が、何と100%になっていることだ。つまり、15銘柄すべての上場初値が公開価格を上回り、公開価格でゲットできた人はみんな儲かったわけなのだ。

 ちなみに、かつてのIPOバブル期の勝率をみると、2004年が94%、2005年が95%、2006年が85%であった。まだ15件と比較するには件数が少ないとはいえ、勝率だけでみればIPOバブル期を凌駕しているのは確かだ。

 また、初値が公開価格に対して何%上昇したかという「初値騰落率」でも、15件の平均初値騰落率は132%と、一番高かった2005年の134%に匹敵する水準となっている。特にジャスダックと東証マザーズに上場した銘柄のそれは、平均200%近い上昇ぶりであった。

 ここからいえることは何か。今年のIPO投資で儲けたいなら、「公開価格で買って、上場初値で売り抜ける」ことが、まずは鉄則になるということだ。実際、今年のこれまでのIPO15銘柄すべての単元株を公開価格で取得し、初値で売ったとしたら、投資資金が2.3倍に膨らんでいた計算となるのだ。

 どの銘柄がいいか悪いかなど考える必要は一切ない。もらえるものは全部もらうという姿勢で、IPOする銘柄のブックビルディングにかたっぱしから参加し、公開価格での取得にチャレンジする。その結果、無事にゲットできれば、高いパフォーマンスが得られる環境となっているのは間違いない。

 とはいえ、現実問題として、この戦略を実践することはなかなか難しい。IPO株を公開価格で取得するためには、クリアーしなければならない高いハードルがある。ブックビルディングに参加しても、参加者全体の購入希望株数が売り出し株数を上回った場合、公募株を購入できる権利は基本的に抽選となり、それに当たらないと購入できないのだ。

 現在のようなIPO株に注目が集まる環境下では、抽選に当たって公募株が手に入る確率は、何百分の1程度しかないと思われる。

 それでも、ブックビルディングに参加しなければ、「公開価格買いで初値売り」戦略の恩恵にあずかることはできない。公募株入手の確率を上げるには、当然ながら、公開株数が多く、公募株が一般の個人投資家にも広く行き渡る可能性が高いIPO銘柄のブックビルディングに参加する手法がお勧めだ。

 その観点から、特に注目されるのが、7月にIPOが予定される「サントリー食品インターナショナル」だ。上場で6000億円規模の資金調達が予想される今年一番の大型IPOとなりそうなので、大手証券やネット証券など、なるべく多くの証券会社経由でブックビルディングに参加すれば、公開価格で手に入れるチャンスは大きいとみる。

 同社は、IPOで調達した資金で、東南アジアなど新興国の飲料メーカーに対してM&Aを行なっていく予定で、昨年再上場した日本航空よりも、成長性は高いと思われる。これほどの大型上場なので、初値騰落率はそれほど高くならないと予想されるが、その一方で下値リスクは限定的。もし抽選に外れてもまだチャンスはある。IPO後に買っても、半年から1年で3割程度のキャピタルゲインは得られるとみている。

※マネーポスト2013年夏号