大阪府

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あいはら・まさき●大阪府市大都市局 制度企画担当。京都大学文学部東洋史学専修課程卒業。2007年4月入庁。“地元への貢献”と“サービス”をキーワードに志望業種を飲食業、電鉄、空港などに絞り込んだが、就活をしていく中で「地元貢献とサービスを重視するなら、民間企業よりも公務員の方が適しているのではないか」と思うようになり、就活をやめて06年3月に卒業。大阪生まれの大阪育ちなので、迷わず大阪府に応募し、夏の入庁試験で合格。

住宅まちづくり部住宅まちづくり総務課と都市整備部茨木土木事務所で、内部管理業務を習得

相原さんが最初に配属されたのは、住宅まちづくり部。府営住宅の供給やまちづくり事業、建築基準の検査や建設業者・宅建業者の指導などを行う部門の総務として、3年間、経理関係を中心に庶務全般を担当した。学生時代には無縁だった、地方自治法や大阪府財務規則などの法令や規則に戸惑いながらも、OJTで着実に業務を学んでいった。

 

しかし、仕事に慣れてきた半年後の繁忙期、相原さんは思わぬ挫折を経験することに。定期的に発生する多量の支払い業務と部の調整業務が重なり、担当していた業務を一人で処理しきれなくなってしまったのだ。

「その様子を見かねた先輩が私の仕事をすべて洗い出し、優先順位や手順をイチから指導してくれたんです。おかげで何とか乗り切ることができましたが、自分の仕事の遅さ、スケジュール管理の甘さが情けなく、先輩にも申し訳なくて…。その後は、全体を把握して仕事の段取りを考え、スケジュール管理を強く意識するようになりました」

 

年間の業務をひと通り経験した2年目になると、相原さんは、次を予測しながら主体的に業務に取り組めるまでに成長した。

「総務や庶務といった内部管理業務は、いわば庁内の潤滑油的存在。だから、『全職員が働きやすくなるように、自分にできることは何か?』を常に意識して行動するようにしました。すると周りから徐々に頼りにされるようになり、仕事を任されるようになって、仕事が一段と楽しくなっていったんです」

 

印象に残っているのは、部でリースしていた約30台のコピー機の入れ替えを担当したときのこと。リース契約の手続きを滞りなく行うのはもちろん、部屋の広さや動線を考えて各部署と機種を調整。また、コピー機が使えないと業務が滞ってしまう部署へは、複数台を時間差で納入するなど、全方位に気を配って任務を遂行した。

「無事に納入を終え、先輩から『ようやったな!』と言葉をかけられたときは、うれしかったですね」

 

4年目に異動した都市整備部は、道路、河川、下水道などの都市基盤施設の整備、交通インフラや市街地の整備などを管轄する部門。配属となったのは、東海道新幹線や阪急電鉄などの鉄道、名神高速道や近畿自動車道などの幹線道路が集まる地域を所管する茨木土木事務所だ。

「業務内容は以前とほぼ同じでしたが、新鮮だったのは、府・市民との距離の近さです。デスクのすぐ横にカウンターがあって、業者の方や府民の皆さまが来所するので、直接接する機会が増えました」

 

土木事務所の重要な任務のひとつに、水防(すいぼう)と雪防(ゆきぼう)というものがある。水害の警戒や防御、被害の軽減を行うのが水防、積雪や凍結などに対する道路対策を行うのが雪防である。

「大雨警報、洪水警報が発令されると、所員は事務所に待機。道路の冠水情報が入ると、ただちに現場に駆けつけ、業者の方と一緒に側溝に詰まった泥や葉っぱを取り除く作業を行うんです。通常業務を終え、帰宅してくつろいでいるところに連絡が入り、暴風雨の中を事務所に向かった経験は数えきれません(笑)」

 

2011年、和歌山県を襲った台風12号の際には大阪も暴風雨に見舞われ、長期化に備えてシフトを組んだが、事務所職員の泊まり込みが3、4日も続いた。

「日中は通常業務、夜は待機という状況で、さすがにしんどかったですね。でも、現場に出動し、周辺住民の方々の目の前で作業をしていると、感謝やねぎらいの言葉をかけてくださる。危機迫る場面ではありましたが、こうしたダイレクトな府民の方々の反応はとても励みになりました」

 

市職員と机を並べて仕事をするようになったことで、よりうまく連携できるようになっている。

 

大阪府市大都市局で新たな大阪づくりに向けてチャレンジ中

6年目を迎えた2012年、相原さんは、知事・副知事の補佐業務や府政の企画立案・調整、地方分権改革などを行う政策企画部に異動し、大都市制度室で企画業務に携わることになった。

「入庁以来、ずっと内部管理業務でしたから、企画担当としてこれまで経験したことのない業務に携わることは、自分のキャリアの大きなターニングポイントとなりました」

 

相原さんは、大都市制度室に異動した当初、大阪府市統合本部に関する業務に携わった。この本部は、知事・市長のもとで府市共通の課題に関し、行政としての方向性を一致させるために設置されたもの。府市の広域行政の一元化に向けた経営形態の見直しや二重行政の解消に向けた府市で類似・重複する行政サービスの見直しなどについて取り組みが進められており、相原さんは、こうした取り組みにおける府市部局間の調整業務等にかかわった。

「月2回程度のペースで統合本部会議が開催され、4月の異動直後からその準備・調整作業にかかりきりでした。異動から2カ月後には、項目の基本的方向性案をまとめるというスケジュールでしたので…。直前まで府市部局同士がお互いの垣根を越えて、スピード感をもって検討や調整を重ねており、案をとりまとめる6月の会議が終了したときは、大きな達成感がありました」

 

その後、8月には「大都市地域における特別区の設置に関する設置法」が可決・成立し、13年2月には「大阪府・大阪市特別区設置協議会」の第1回目が開催された。この協議会は、大阪にふさわしい新たな大都市制度の実現に向けて、その制度設計等をまとめるもの。13年1月から、相原さんはこの協議会に関する業務を担当することになった。

「この協議会や府市統合本部は、ニュースでもいろいろと話題の取り組みです。私がかかわっているのはそれだけ重要な業務の一つであると認識し、気を抜かず取り組んでいきたいと思います」

 

現在は、府と市から約50名ずつが集まった部局が共同設置され、府市職員が一体となって業務にあたっている。こうした府市の共同組織化は全国的にも初めての試みである。

「府市を再編して、広域自治体と特別区を設置するという現在の業務には何の前例もありません。常に最適な行政サービスとは何か意識しながら対応していかなければなりません。こうした前例のない業務は簡単ではありませんが、とても貴重な経験で、やりがいを感じます」

 

現在、相原さんは次の協議会に向けての準備に全力を傾けている。

「府民・市民に奉仕する立場であることを忘れず、謙虚であること。日々知識を蓄積しつつ、前向きに笑顔で職務にあたり、職場を活性化していくことを常に心がけています。そして、将来的には、府民・市民の方々が暮らしやすい大阪になるように貢献していきたいですね」

 

大阪府・大阪市特別区設置協議会の資料の進め方について、メンバーと打ち合わせ。会議資料や議事録は府市のホームページに掲載している。

 

■ 相原さんのキャリアステップ

STEP1 2007年 住宅まちづくり総務課で内部管理業務の基礎を学ぶ(入庁1年目)

2週間の新規採用職員の全体研修に参加。大阪府の財政状況や組織、接遇などを学び、府庁の仕事の幅広さを実感。住宅まちづくり部住宅まちづくり総務課の総務・企画グループに配属となり、経理を中心とした庶務全般の業務を習得。繁忙期の仕事を一人で処理しきれず、挫折感を味わった新人時代を経て、2年目には主体的に業務を遂行できるように。総務・人事グループに組織変更となった3年目には、グループの中核として庶務・経理関係のほとんどを任されるようになった。

STEP2 2010年 都市整備部茨木土木事務所で府民と接する業務に携わる(入庁4年目)

都市整備部の出先機関である、茨木土木事務所の総務・企画課(5年目に、総務・契約課に組織変更)に異動。前部門で培ったスキルを生かしつつ、新たに契約に関する業務を習得。日常的に業者や府民と接する機会が増えただけでなく、自然災害が起きそうなときには、所員が交代で事務所に待機して水防や雪防にあたり、緊急時には現場に出動して災害を食い止めるなどの現場作業も経験。

STEP3 2012年 政策企画部で初めて企画業務に携わる(入庁6年目)

本庁に戻り、政策企画部大都市制度室に異動。広域機能再編グループ(その後、行財政分析グループに内部異動)に配属となり、企画業務に携わる。入庁以来5年間担当してきた内部管理業務とはまったく異なる、企画という新たな業務を担当することに。

STEP4 2013年 府と市の共同組織で協議会の事務局業務に携わる(入庁7年目)

大都市制度の実現に向けて、大阪府と大阪市の職員が半々で構成する大阪府市大都市局が発足し、その一員となる。現在は、大阪市役所内に設置されている大阪府市大都市局の制度企画担当として、引き続き事務局業務に従事。市の職員と一緒に働くことで、府職員ばかりの中で仕事をしていたときとは異なる視点や考え方に触れることが増え、良い刺激になっている。

 


■ ある日のスケジュール

8:45 出勤し、メールをチェック。
9:00 勤務開始。必要に応じて各局に確認をとりながら、協議会で使う資料を作成。
12:15 ランチ。地下のコンビニで買って、デスクで食べることが多い。
13:00 協議会の広報についての作業で、メンバーと打ち合わせ。
15:00 協議会の準備のため、大阪府庁へ。会議室の設営を行い、資料を準備。
17:00 大阪市役所に帰庁し、残務処理などのデスクワークを行う。
18:30 退庁。

■ プライベート

国内外を問わず、旅が好き。写真は、8月に中学時代の友達7人で行った能登半島(石川県)。「中学時代の友達とは、毎年国内旅行に行っています。妻とは、2012年4月に愛知県の渥美半島を旅行しました!」。

 

入庁同期のメンバーとは仲がよく、異動などのイベントのたびに集まって飲む。「同期でサッカーチームを結成したので、その仲間と、練習もしないで飲みに行くこともあります(笑)」。

 

小学生のころから料理が好きで、学生時代は自分のお弁当をつくっていたことも。今も土・日は自宅で料理する。「妻の友人が遊びに来たときは、僕が料理を担当するんですよ(笑)」。

 

取材・文/笠井貞子 撮影/福永浩二