自身のキャリアや最新作を語ったオゾン監督

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6月21日開幕の「フランス映画祭2013」の関連イベントとして20日、アップルストア銀座で「フランス映画の魅力を語ろう」と題したトークイベントが開催され、映画祭オープニング作品「In the House(英題)」の上映に合わせて来日したフランソワ・オゾン監督が登場。東京国際映画祭プログラミングディレクターの矢田部吉彦氏が聞き手を務め、オゾン監督が自身のキャリアから、これまでの作品を振り返った。

カメラに興味を持ち始めたきっかけを「子供の時バカンスで父がスーパー8のビデオで家族を撮っていたのですが、父が下手だったので、僕が撮るようになりました」と話す。幼い頃強く印象に残った作品がロベルト・ロッセリーニ監督の「ドイツ零年」だそうで、「子供ながらに感動して、映画がエンタテインメント以外の役割ができる、物語を語れるということを初めて知りました」とその理由を述べ、「学生の時にライナー・ベルナー・ファスビンダー監督の映画を見た時、自由にやっていいんだと思いました。映画監督としての自分の要求がこれでいいのだと安心させられました」。「ルイス・ブニュエル監督の『夢を現実のように撮り、現実を夢のように撮る』という彼の言葉がいつも頭にある」と自身の作風に影響を与えた先人についても語った。

映画監督を志してFEMIS(フランス国立映画学校)に入学。その後、多くの優れた短編を発表し、シャーロット・ランプリング主演の長編「まぼろし」が初めて興行的な成功を収めた作品となった。「予算が少なかったのと、製作側もこの作品が成功すると信じなかったのです。主人公も年配ですし。(興行的な成功は)ランプリングにとっても、私にとっても努力が報われました」と述懐し、同作の資金が底をついた際、東京のユーロスぺースから援助を受けたというエピソードも明かした。

カトリーヌ・ドヌーブをはじめフランスを代表する名女優たちが一堂に会し、ベルリン国際映画祭で主演女優賞を受賞、世界的に大ヒットした「8人の女たち」は、「フランスではあの女優8人を集めたら殺し合いを始めるとも言われました(笑)。彼女たちは脚本を気に入ってくれ、楽しみながら演じてくれたと思います。(8人の女優に対し)中立的に対応しようと、適切な距離をとりながら接しましたが、女優一人ひとりにそれぞれ同じように監督することはできません。そのため私は8分裂症位になりました」とユーモラスに振り返った。

このほど日本で公開される「In the House(英題)」も、フランスで公開1カ月で100万人を超える興行成績を記録しており、作家性と商業性の両方を兼ね備えて成功している稀有な監督だ。「私も含めすべての監督は商業的なヒットを望み、かなり尖った作品を作る監督もそうだと思います。私自身は自分が語りたいことを見てもらいたいと思っていますが、映画を作るときには、観客を退屈させないよう意識して撮っています。そういう意味では私はヒッチコックの系譜に属すると思います。個人的な作品であって、かつ観客も意識した作品です。フランス、東京のシネマテークにいる10人の観客のためだけに撮っているわけではありません」と映画製作に対する自身のスタンスを語った。

「フランス映画祭2013」は有楽町朝日ホールほかで24日まで開催。

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