価格抑制策の影響が懸念されつつも堅調な推移が続く中国不動産市場

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中国では、2012年後半以降、都市化の進展や家計所得の高い伸びを背景とした旺盛な住宅需要などが支えとなり、住宅市場の回復基調が続いています。一方で、広州や北京などの大都市において、住宅価格の上昇が顕著となり始めたことを受け、政府は、過熱を未然に防止すべく、2013年3月、売却益への課税強化などを柱とする新たな不動産価格抑制策を発表しました。先頃発表された5月の住宅価格統計によれば、規制強化の影響は依然限定的とみられるなか、今後の政策の行方や市場動向が注目されます。

一般的に、住宅価格の変動は、個人消費をはじめ、景気動向を左右する要因となりますが、中国ではさらに、地方政府の財政収入にも大きな影響を及ぼします。これは、地方政府が財政収入の多くを、国有である土地の使用権を不動産開発業者に譲渡して得られる売却収入に依存しているという構造的な問題が背景となっています。また、同国においては、個人だけでなく、企業や地方政府なども資金調達の大部分を銀行からの借り入れによって行なっているため、住宅価格の下落に伴ない、借り手の債務返済能力が低下するようであれば、不良債権の増大により、金融システムや実体経済の不安定化につながる可能性が高まると考えられます。

こうした背景の下、中国政府は、不動産市場の安定化を持続的な成長に向けた重要課題のひとつとしており、引き続き、住宅価格の高騰には警戒姿勢を維持すると見込まれます。ただし、居住目的の住宅購入に対しては税制面での優遇措置を継続するなど、規制の狙いを投機の抑制に限定しているとみられるほか、住宅価格の上昇が資産効果を通じて個人の消費意欲を支えていることなどを踏まえると、適度な価格上昇は容認されるものとみられます。加えて、中国経済における住宅市場の重要性の高さなどから、今後、政府が実需にまで影響が及ぶような規制に踏み切る可能性は低いと考えられます。

(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。)

(2013年6月20日 日興アセットマネジメント作成)

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