話し方がブームな一方で、な〜んにもしゃべらない若者も増えている。“身内”である職場での話ならまだいい。外部の人の前でその姿をさらけ出すと最悪である。損保会社に勤務するAさんは、「無言の大物新人・B」のおかげで、大事な取引先の部長からモーレツなクレーム電話を受ける羽目になった。
 
「“悪いが、この間ウチの担当になったB君を代えてくれないか。でないと取引は続けられない”という内容でした。丁寧な口調ですが、相当腹に据えかねることがあったのだろうと肝を冷やしました」(Aさん)
 
 聞けば、Bは取引先の部長に名刺を差し出すやいなや、いきなりマニュアル通りの商品説明をまくしたてたという。
 
 初対面ではとりあえず自己紹介をし、雑談で場を和ませるのが、社会人のマナーだろう。面食らった部長は、「初対面でいきなり商談っていうのはいかがなものかな」とやんわり釘を刺した。だが、Bの次の一言でキレた。
 
「じゃあ僕はどうすればいいんですか」
 
 部長は、「バン!」と両手をテーブルにたたきつけ、すぐさま席を立ったという。Bの上司、Aさんがうなだれる。
 
「当面、自分が担当するということで事なきを得ました。初対面の取引先との応対の仕方について、部下に指導しなかった私の責任ですが、世間話をして打ち解けろとまでいって聞かせる必要があるとは……」(Aさん)

※週刊ポスト2013年6月28日号