アクセンチュア株式会社

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WOMAN'S CAREER

アクセンチュア株式会社

さだまつ・まりこ●テクノロジー コンサルティング本部 公共サービス・医療健康 SIグループ マネジャー。愛媛県出身。神戸大学法学部法律学科卒業。自身の市場価値を高めるスキルを身につけられる環境で働くことを目指し、コンサルティング業界を志望。選考で接した社員の考え方や目指すものが自分と似ており、かつ、選考で常に自然体でいられたことが決め手となり、2002年、アクセンチュアに入社した。以来、アナリスト、コンサルタント、マネジャーと職位を上げながら、主に官公庁のシステム導入・統合などのプロジェクトに携わっている。家族は夫と長女(2歳)。

■ 育児と両立しながら仕事のスキルを高め、クライアントに貢献する

人と組織の力を向上させる仕事に携わりたいという思いで、世界中で企業・官公庁のコンサルティングを行っているアクセンチュアに入社した定松さん。クライアントの課題に対してITを用いた解決の道筋を描くビジネスプロセス・コンサルタントとして入社し、希望通り、官公庁の担当に。以来、さまざまな官公庁のシステム導入・統合プロジェクトに携わってきた。

 

入社後、初めて参画したプロジェクトは、ある県の電子申請システム開発プロジェクト。住民や企業が紙で行っていた申請や届出を、オンラインで可能にする仕組みを開発するというものだった。定松さんは、30人ほどのプロジェクトメンバーの一員として、システムの設計から、システムを構築する外部の開発会社の管理、構築されたシステムを県の担当者がテストする際のサポートまで携わった。

「まずは、申請業務を担当する現場の職員の方にヒアリングを行い、申請手続きの全容を把握してシステムを構築する際の課題を洗い出します。そして、どのような申請画面にすべきか、県の担当の方と議論をしながら設計を進めました。しかし最初は、会議や打ち合わせで出てくる言葉の意味がわからなかったり、主要なポイントがとらえられなかったりで、議事録を書くにも一苦労。わからないことはとにかく調べ、その上でチームを組んでいた上司や先輩にも聞いてシステムや業務について理解していきました」

 

心がけたのは、上司や先輩の仕事を少しでもできるようになること。クライアントとの会議に出す資料作成やプロジェクトの進捗に重要な役割を少しでも任せてもらえるよう、上司や先輩の仕事を観察し、会議では自分の考えを積極的に発言した。1年半にわたったプロジェクトについて、「何が課題で、どうすればその課題を解決できるのかを具体的に、かつ淡々と考えることを鍛えられ、新しい現場や複雑な局面にも動じなくなった」と定松さんは振り返る。

「考える力や文章力、クライアントとの調整力など、コンサルタントとしての基本的なスキルが身につき、電子申請システムを開発する上での課題や、システムの設計経緯などは任せられた領域について自分が一番わかっていると言えるくらいになりました。しかし、本当に難しい状況を自分の力だけで取り仕切ることができる、真のコンサルタントとしての成長にまでは至らなかったと思います」

 

コンサルタントとしての独り立ちを実感できたのは、3年目から5年間担当した、ある省庁の業務・システム最適化支援プロジェクトにて。簡素で効率的な政府の実現に向けて各省庁の業務や情報システムを見直すという政府の方針を受け、省内の大規模システムの刷新を進める職員を支援するというもの。システムの刷新には、異なる開発会社が入り、関連する領域と整合性をとって大小さまざまな開発が進められることが多い。そのため、省庁の情報管理担当者は、複数の開発会社をまとめ、開発工程を一元管理しなければならない。プロジェクトマネジメントオフィス(PMO)と呼ばれるこの業務を、定松さんらアクセンチュアがサポートするのだ。全体の工程管理から、クライアントが設計書をレビューする際のサポートや将来を見据えた仕様の提案、業者の選定、トラブルや遅延が発生した際の対策の助言や開発会社および関係者との調整まで、クライアントの課題解決や意思決定にかかる支援業務は多岐にわたった。

 

当初は、プロジェクト内の1チームをまとめる役割を担っていた定松さんだが、6年目にマネジャーに昇進し、プロジェクト全体を見る立場に。そのとき、プロジェクトとしても、定松さんのキャリアとしても転機となる出来事があったという。

「大規模な仕様変更が生じて、スケジュールどおりの開発が危ぶまれたとき、クライアントの責任者の方に、この事態をどのように考えるべきか意見を求められたのです。現時点においても懸念されるリスクと講じるべき対策について、できるだけ理路整然と、毅然(きぜん)とした態度で伝えたところ、責任者の方の対応が少し変わった感触がありました。これ以降、さまざまな場面で意見を求めてもらえるようになり、支援させていただく範囲が広がったのです。お客さまの課題が『何』で、『どのようにして』解決するかを考え抜くことも大事ですが、それを明確に伝える伝え方やタイミングも大事だということを実感しました。何をやるべきかを、お客さまの目線で、論拠を持って語る。これは、今も意識しています」

 

翌年には、4年にわたった設計・開発が完了し、全国に導入する工程に。その途中で定松さんは長女の出産に伴う産休・育休に入り、プロジェクトを離れた。入社10年目に復帰した後は、ある省庁の複数の大規模システムを統合管理するプロジェクトに参画。現在までプロジェクトマネジャーとしてクライアントのPMO業務を支援している。

 

コンサルタントとして意識しているのは、クライアントを第一に考える“クライアント・ファースト”の姿勢と、関係者を含めて、相手の置かれている立場を考えながら密にコミュニケーションをとることだ。

「お客さまが目指す方向に導き、お客さまの課題を絶対に解決するんだという思いで、お客さまへのレスポンスはできるだけ早くし、必要なことは熱意を持って、それでいて論理的に伝えるなど、自分は誰よりもお客さまのことを考えているという自負を持って臨んでいます。その思いや熱がお客さまに伝わり、また、自分たちが示した見解や助言に納得されて、お客さまが次第に頼りにしてくださるのは本当にうれしいことです。また、開発会社さんに対しては、直接訪問して打ち合わせを重ね、ときには飲みに行くなどして、本音を聞かせていただけるくらい打ち解けた関係を作ることを心がけています。お客さまの側に立って指示・調整する立場にいる私たちは、開発会社さんにとっては“目の上のたんこぶ”のようなもの。だからこそ、お客さまに必要なことを説き同じ目標を共有することと、開発会社さんの主張が正しい時は自分たちからもお客さまに進言するなどにより信頼関係を作ることで、お互いが納得できる調整ができると考えています」

 

「地道な調整や説得でお客さまが困っている状況を解決に導き、お客さまが真にやりたいことを実現する。その積み重ねが、大きくとらえると日本のためになっていることにやりがいを感じる」と話す定松さん。育児との両立に大変さも感じているが、できる限り仕事を続けて日本がより良くなるための一助になれればと考えている。

「育休から復帰してしばらくは判断のスピードが鈍っていましたし、家に帰れば娘の世話に忙殺され、両立に難しさを感じました。今は家族やお互いの両親の力を借りて、また、上司や同僚の理解と協力を得て両立する環境を整え、たまには家事代行サービスを活用して骨休みするなどにより、なんとかやっています。今参画しているプロジェクトにおいてお客さまのためにできることはまだまだありますし、マネジャーとしても、より判断のスピードを上げて仕事をメンバーに委譲することや、チームの機能を高める人材の配置や育成など、課題に感じていることもたくさんあります。大変ではありますが、お客さまのパートナーとしての地位をしっかりと築き、かつマネジャーとしての課題も克服できるよう、いけるところまで頑張ろうと思います」

 

 

 

プロジェクトの予算やスケジュールの管理もマネジャーの役割。定期的にチームメンバーの進捗状況や工数を確認し、必要な対策をとる。

 

プロジェクトメンバーとのミーティング。クライアントとのミーティングの後は、すぐに今後の方向性を決めてタスクに落とし込み、担当を決めてメンバーに割り振る。

 

 

■ 定松さんのキャリアステップ

STEP1 入社1年目 アナリストとして、県庁の電子申請開発プロジェクトに参画 

国内で約2カ月間、アメリカで3週間の新入社員研修を受けたのち、現部署に配属され、官公庁の担当に。ある県の電子申請システム導入プロジェクトに参画し、資料作成、クライアントへのヒアリング、システムの設計などに取り組む中でコンサルティングの基本を身につけた。2年目には、リサイクル法施行に伴うシステム開発プロジェクトに参画。システムに関する知識は入社前に関連書籍を読んだり、入社後研修を受けたりして学んだが、現場ではわからないことも多く、その都度調べて身につけていった。

STEP2      入社3年目  コンサルタントに昇進。プロジェクト内のチームをまとめる立場に

チームリーダーとして、自チームの担当業務に責任を負う立場に。3年目からある省庁の業務・システム最適化支援プロジェクトに参画。4人のプロジェクトメンバーのうち1人とチームを組み、クライアントの課題解決や開発工程の管理、業者選定の支援などを行った。

 STEP3 入社6年目  マネジャーに昇進。プロジェクト全体の管理へ

参画していた業務・システム最適化支援プロジェクト内ではプロジェクト全体をまとめる立場に。時期によって増減はあったが、最大9人のメンバーを指揮した。また、マネジャーは複数のプロジェクトの管理を求められるため、ある省庁のCIO(最高情報担当責任者)補佐官を支援するプロジェクトにも参画。週2回、クライアントの元に常駐して課題解決や意思決定などを支援した。プライベートでは入社8年目に結婚。9年目に長女の出産に伴い、産休・育休を取得した。

STEP4 入社10年目  中央省庁の大規模システムの統合管理プロジェクトを担当

1年2カ月間の産休・育休から復帰後、数カ月間は提案活動やプロジェクトのサポート業務に従事。その後、ある省庁の大規模システムの統合管理支援プロジェクトにプロジェクトマネジャーとして参画し、複数の大規模システムを統括しているクライアントの課題解決や意思決定、将来の方向性の検討などを社内の技術部門と連携しながら支援している。同時に、自プロジェクトの予算やスケジュール、品質の管理といったマネジャーとしての管理業務を行っている。現在のプロジェクトメンバーは6人。

 


■ ある一日のスケジュール

7:00 起床。長女の保育園の準備や洗濯をしたのち、長女を起こして洗顔や着替えをさせる。朝食をとり、片づけや自身と長女の支度を済ませ、8時45分ごろ自宅を出発。長女を保育園に送るのは夫が担当。また、場合によっては4〜5時ごろに起きて仕事をすることも。

9:30 出社。その日のタスクを確認し、クライアント先へ移動。

10:00 週に一度のクライアントとの定例ミーティンング。懸案事項などについて議論する。このほか、クライアントから不定期に相談を受けて訪問するなど、およそ週に2〜3回はクライアントとミーティングを行っている。
12:00 プロジェクトメンバーとオフィスの近くの店でランチ。ランチで外食をするのは週に数回ほどで、残りの日は買ってきたものをオフィスで食べることが多い。
13:00 メンバーと午前中のクライアントとのミーティングを振り返り、次回のミーティングまでにやるべきことの整理と、役割分担を行う。
14:00 クライアントからの個別の依頼への対応や、資料の作成・レビュー。
17:00 メールチェック、社内対応。
18:00 その日の業務を振り返り、翌日にやるべきことを整理。
18:30 退社。週に1〜2日は義父に長女のお迎えと食事、入浴などをお願いし、残業できる態勢を作っている。
19:15 保育園に長女を迎えに行き、19時半ごろ帰宅。夕食を準備し、20時ごろ2人で食べる。片づけや洗濯物の取り込み、お風呂の準備をしたのち、長女と絵本を読んだり、おもちゃで遊んだりする。
21:00 2人で入浴。歯磨きを済ませて22時ごろに長女を寝かしつける。一緒に寝ることが多いが、夜中に起きて仕事をすることも。

 


■ 定松さんのプライベート

長女を出産するまでは、年に1〜2回、国内外に旅行へ(帰省を含む)。海外旅行には、プロジェクトの切れ目や、昇進時に受けた海外研修に合わせて1週間程度休暇をとり、3年に一度ほどのペースででかけていた。写真は2010年に訪れたカンボジアにて。

 

休日は家族で、公園や夫の実家に出かけたり、マッサージに行って体を休めたりして過ごす。また、夫と協力して翌週の食事を作り置きすることもしばしば。写真は長女が1歳のころ、近所の公園で。

 

美術鑑賞、読書、ヨガなどが趣味。出産後は頻度が落ちたが、長女と美術館に出かけることも(写真)。「親子でできるヨガに挑戦することも計画中です」。

 

 

取材・文/浅田夕香 撮影/刑部友康