急激に膨らんだ先物取引がもたらしたもの

写真拡大

日本の株式市場は、デフレ脱却を狙った政府当局の動きなどが好感され、2012年11月半ばから急速な上昇となりました。この上昇の先導役となったのは、初期段階から一貫して日本株式を買い越してきた外国人投資家であり、また、個別株式への投資に加えて行なわれた、先物取引であったと見られます。先物取引はコストを抑えつつ市場全体への投資が出来る取引であり、日本経済の回復期待から先高観が高まり、先行して買われたと見られます。そして、先物価格が上昇することで現物価格との間に差(乖離:かいり)が発生し、この乖離の解消をめざして現物株式が買われ、株価は足早に上昇することとなりました。

下のグラフは、日経平均株価とTOPIXの日次の騰落率の差を表しています。両指数の日次騰落率の差分は従来0.5%ポイント程度にとどまっていましたが、2012年11月半ば以降、株価の上昇に歩調を合わせ、拡大していたことがわかります(下記グラフA参照)。本来、市場を代表する株価指数は似通った動きとなる傾向にありますが、この時期は、先物取引において主流である日経225先物による影響を受けやすい日経平均株価の値動きが、同先物の影響を比較的受けにくいTOPIXと異なる傾向となりました。同様に、通常ならば現物株式の補完的な役割である先物取引の売買代金は現物株式の半分程度の水準でしたが、一時は5兆円を超えるなど現物株式並みに急増し、近年稀に見る規模まで取引が拡大し、補完的な役割を越えて現物市場に大きな影響を与えていたことがわかります。

本年5月後半からは、為替水準の円高傾向や急激な株価上昇への反動から先物が売られ、これに引きずられる形で現物株式が大幅な調整を強いられていますが、先物の取引規模は足元で縮小傾向となっており、現物株式に与える影響は次第に弱まると考えられます。かつてに比べ株価の先高期待は薄れており、上昇を先導した外国人投資家の買いも減少傾向となっていることから、この先は急激に上下するような展開ではなく、ファンダメンタルズを反映した動きに回帰すると見られ、企業業績の堅調さが反映されることも期待されます。

(※上記は過去のものであり、将来を約束するものではありません。)

(2013年6月20日 日興アセットマネジメント作成)

●日興アセットマネジメントが提供する、マーケットの旬な話題が楽に読める「楽読」からの転載です。→「楽読」