ショッピング株BEST20 増税に負けない
物価上昇率2%達成には個人の買い物欲が盛り上がらないことには始まらない。実は、デフレ脱却で最も恩恵を受けるのは小売・流通業! デフレ地獄を生き延び今後躍進しそうな企業とは?


高単価PB商品と女性アパレルにまず火がつく!

内閣府の消費動向調査によると、2006年以降ずるずる落ち込んでいた日本人の消費意欲は今年に入って急回復。2008年のリーマン・ショック前の水準まで戻ってきた。

「全国百貨店の1〜3月の売上高が7年ぶりに3カ月連続で前年を上回るなど、株式投資の世界では高額商品関連株が何かと注目されがちです。しかし、一部の富裕層を除いた一般庶民は、今後も安価な商品を提供するプチプライス企業を利用するはず。デフレ地獄に負けない収益体質を築きつつ、価格転嫁力もあるプチプラ企業が、アベノミクスでも真の勝ち組企業になるはず」と崔さんは分析する。

販売収益を飛躍的に向上するためのカギとなるのは、利益率の高いPB(プライベートブランド)商品の開発。それは過去最高益が続くセブン&アイ・ホールディングスが、2015年度までにPBブランド「セブンプレミアム」の売上高1兆円到達を目指していることでも明らかだ。

「4月に発売された高価格PBブランド『セブンゴールド』の『金の食パン』は、売れ行き絶好調のようです。ほかにも埼玉を中心にスーパーを展開するヤオコーでは、働くパート主婦が商品に?OK〞を出したPB商品のヒットで、スーパー事業は24期連続の営業増益が続いています。デフレ時代の経営ノウハウを生かしながら、消費意欲の高まりを取り込んだ高単価PB商品をヒットさせている企業が狙い目だと思います」

通常、個人消費が回復する過程ではまず高額商品が売れ、次に女性アパレルに波及して、最後に男性アパレルも売れ始めたら好景気はホンモノ、といわれている。

「女性のファッション需要の高まりが予想される今、パルコやポイントなど女性向けアパレル関連株にも注目です。個人的には、安価なジーンズの販売を中止して1万円以上の高額品だけに狙いを絞ったリーバイ・ストラウス・ジャパンに期待したいですね」

そんな崔さんが、PB商品と女性向けアパレルに続く切り口として挙げるのは寡占率。

「安倍政権の国策になっている物価上昇率2%ですが、企業が商品の値上げに踏み切るためには競合他社が少なく、その分野で絶対的なシェアを握っていることが重要。たとえば、食用油のJ −オイルミルズなどが代表例といえます」

ショッピング株ほど個人投資家にとって身近な存在はない。時代の変化で、今後、どんな商品が人気を集めるのか?



ショッピング株ランキングのポイント
?高単価PB商品がヒット。デフレ時代の勝ち組企業ほど価格転嫁力あり。

?高額品の次は女性向け衣料の売り上げ増加が消費拡大の定石!

?物価上昇時代は、圧倒的なシェアを3誇る企業ほど値上げも容易。

1位 ヤオコー
地域密着、顧客重視で24期連続増益はすばらしすぎる
関東圏に114店舗を展開する地元密着型スーパー。顧客やパートの主婦の声を生かしたレシピ提示など、食生活提案型の売り場展開が話題に。今年4月からはPB商品「Yes!YAOKO」の発売を開始し、共同調達や総菜事業の進展で今期の25期連続増収増益も確実視される。前期に続いて今期も増配予定。株価は2011年半ばから上昇トレンドが続き、今年に入って急加速。上場来高値を更新中。100株保有で2000円相当の買い物優待券×年2回。


2位 セブン&アイ・ホールディングス
寡占率の高いコンビニNo.1で原料高を容易に価格転嫁できる
流通国内2位で稼ぎ頭のセブン-イレブンはコンビニ首位を独走しており、2014年2月期も純増1000店と積極的に出店している。利益率の高いPB商品「セブンプレミアム」を武器に快進撃が続いている。

今期も過去最高益を連続更新する見込みだ。女性や高齢者などの利用頻度はまだまだ上がりそうで、株価は4月以降に限っても500円高して4000円突破目前。しばらくこの勢いは続くだろう。



3位 ニトリホールディングス
増税前の住宅駆け込み需要で家具・インテリア販売が急伸!
家具・インテリアで全国トップ。円高を武器にデフレ時代の勝ち組として君臨しており、2014年2月期も27期連続の増収・営業増益が濃厚な勢い。

円安のデメリットをコスト削減で補い、安易な値上げは行なわない方針だ。消費税増税前の住宅駆け込み需要もあり、デフレで培った価格競争力で売り上げ拡大が続きそう。株価は横ばい気味だが、出遅れ株としての魅力は十分。



4位 平和堂
売上高を「ご奉仕高」と呼ぶなど地域密着サービスには定評あり
滋賀県中心に北陸、東海などに展開する地方スーパー。中国・湖南省に早くから出店していることでも知られている。

平和堂以外にも、ショッピングセンター「アル・プラザ」や小型店「フレンドマート」などを狭い地域に集中出店するドミナント戦略で有名。

新規出店効果で2014年2月期は大幅増収増益の予想を出しており、株価もこの半年で約60%も上昇している。



5位 リーバイ・ストラウス・ジャパン
高価格路線への転換が時代にマッチし、株価も底打ち反転か
米国ジーンズ「リーバイス」の日本法人。低価格化路線が大失敗したことで、2011年11月期まで3期連続の最終赤字が続いていたが、路線を転換した。

前期は有名な「501」ブランドなど1万円以上の高価格帯に絞る戦略で、減収ながら営業利益、経常利益で黒字転換を果たしており、今期以降に期待したい。株価200円前後で低迷中の今が仕込み時か!?



※株価などのデータは2013年5月9日現在。各ランキングの順位はテーマ解説者の注目度の高い順に並べた。直近の実績(または予想)が5月9日時点で未発表のものはアナリストコンセンサスのデータを掲載。【目標株価】は日経平均株価=1万6000円、ドル/円=105円をベース算出。【株価出遅れ度】は、株価の出遅れ感が強いほど★の数が多く、【投資安全度】は流動性や事業規模などで算出し、安全度が高いほど星が多い。【投資判断】は目標株価と現在株価の差が大きく、投資の安全度が高い銘柄が高評価とした。掲載銘柄の抽出は岡三証券、順位づけはネットマネー編集部、目標株価や投資判断などのデータはフィスコが担当。

崔 真淑
Good News and Companies代表 経済アナリスト

神戸大学経済学部卒業後、大和証券SMBC金融証券研究所(現・大和証券)に株式アナリストとして入社。2012年に独立。経済の社会的意義を広めるためのプロジェクトを運営するほか、今年4月より日経CNBC経済解説部コメンテーターに。



この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。