「二度あることは〜」のことわざ通り、2000年、2004年のリコール隠しに続き、軽自動車のリコール届け出遅れで国交省から立ち入り検査や厳重注意を受けた三菱自動車。

 同社は6月18日に最終の改善報告書を国交省に提出。とりあえずの幕引きが図られたが、三菱車の品質に対する、より一層のイメージダウンは避けられない。ただでさえ国内販売シェアは3年連続のマイナス、国内メーカー最下位の13万4000台しか売れていないのだから、業績への影響を懸念する報道が出るのも当然だろう。

 その一方で、少なからず三菱に同情する声もある。

「生産技術、品質保証面でうまく社内連携が取れていなかったが、今回はディーラーから上がってくるクレーム情報を意図的に隠したわけではない。問題とされた軽自動車のエンジンオイル漏れも、普段ではあり得ないような条件下で発生する恐れがあるという程度のもの。安全上の問題はないとしてきた三菱側の言い分も一理ある」(全国紙記者)

 では、なぜ国交省は本社や品質統括本部への立ち入り検査、そして異例ともいえる口頭での厳重注意まで行ったのだろうか。前出の記者は、こんなうがった見方を示す。

「国交省が立ち入り検査を行った昨年12月は笹子トンネル事故があったため、同省としては日頃から安全管理はきちんとやっているという姿勢を示したかった。つまり、笹子の汚名を返上する題材として、三菱が割を食ったフシもある」

 真相はどうあれ、三菱はブラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」に続き、売れ筋市場の軽自動車「eKワゴン」と、販売の牽引役に据えた車種が相次いでリコール騒ぎにまみれた事実は消えない。今後、どうやって“失地回復”を目指すのか。

 自動車ジャーナリストの井元康一郎氏がいう。

「国内販売は依然として厳しい状況が予想されますが、海外事業は決して悪くありません。特に東南アジアの新興国市場では、三菱商事がバックについて販売台数を伸ばし続けています。アジア各国から見れば、“スリーダイヤ”のブランドはいまだに憧れの対象でもあるんです」

 ASEAN地域全体での販売数は、前期比12%増の58万7000台。2016年度にはインドネシアで新工場を立ち上げる計画もあるという。三菱車が新興国でプレゼンスを高めている理由はなぜか。井元氏は「長年培ってきた独特の技術力」を挙げて、こう続ける。

「タイやマレーシアでSUV(スポーツ用多目的車)が売れているのは、舗装されていないような難所の道が多いから。そこで、『パジェロ』はじめ多くの4WD車を開発してきた三菱のオフロード性能は一歩も二歩も他社を圧倒しています。先日、新型『デリカ』を試乗してみましたが、デコボコした道でも驚くほどの安定走行ができ、“オフロードの三菱”は健在だと再確認しました」

 そんな高い技術力を眠らせないためにも、迅速な品質改善とユーザーへの情報開示という当たり前の企業モラルは常に意識すべきだろう。