[其ノ二 FX プロディーラーの視点!]米ドル/円、110円への道筋
日銀の「異次元緩和」の効果は絶大。100円大台を超え、米ドル/円がさらに上昇する可能性をプロが解説。メディアに登場し始めた安易なアベノミクス批判を一蹴!


円安加速で円を売らないといけない投資家が急増!

米ドル/円がどこまで上昇するかは、個人投資家にとっても大きな関心事のはず。

実際、4月4日の日銀の「異次元緩和」を受けて、米ドル/円は5日間で7円も上昇。私自身、1ドル=100円となったら達成感が出るという見方をしていましたが、今は「どうも違うな」という感触です。月足チャートを見ても、今後はリーマン・ショック直前の高値110円台を目指す展開になりそうです。

1ドル=100円という心理的節目を超えて上昇が続きそうな要因としては、これまでの円安スピードにマーケット参加者が追いついていないという裏事情があります。

100円を超えると、?円を売らなくてはいけない国内勢〞がさらに増えます。たとえば、80円台や90円台で必要な米ドルを購入しきれなかった輸入業者、逆に85 円、90円などの節目で必要以上にヘッジの米ドル売りを入れた輸出業者や機関投資家です。

昨年11月からの円安トレンドが始まったばかりのころは、個人投資家の間にも逆張りの円買い取引をする人が見受けられました。しかし、最近は急激に円安が進んだからといって、その流れに逆らって利益確定や新規円買いをする人は減っています。

むろん、新興国や欧州の国国の中には日本の円安誘導政策に対する反発が広がっているのも事実。また、お隣の中国の経済指標は悪化が続いており、米国の経済指標も春以降はまだら模様で、今後も調整は見られるでしょう。

しかし、現在の相場参加者の大半は、円売りが基本スタンス。円を売るという投資方針がまずあって、買う外貨はいくらでもある、という「円キャリートレード」が復活しています。だからこそ、欧州危機がいまだにくすぶるユーロや流動性に乏しい南アフリカランドも円に対して上昇しているのでしょう。

今後、米国の量的緩和が終了すれば、米ドル高という要因も加わって、米ドル/円の上昇(円安)は加速するはず。投資家としては「目の前で買う、下がったら買う、上がっても買う」姿勢で臨むべきでしょう。

「異次元緩和」で米ドル/円は100円目前まで急騰!



日銀の市中のお金をジャブジャブにする金融政策は正しい!

やはり、黒田総裁率いる日銀が発表した「バズーカ砲」の効果は絶大。これまで緩和のターゲットといえば政策金利でしたが、すでにゼロだった金利をさらに下げるといっても効果は限定的でした。緩和対象を金利からお金の量(マネタリーベース)に大転換し、市中をお金でジャブジャブにすることを大胆に表明したことで、日銀はサプライズを起こすことに成功したのです。

日銀や安倍政権に対する期待感が強いうちは、円安トレンドも安泰。7月の参院選までに1ドル=110円台に乗ってもおかしくありません。その後は欧州危機の再燃で調整局面を迎え、1ドル=90円台で落ち着くというのが中期的な予想です。

世の中では、日銀の異次元緩和をバブル誘導政策と批判する人もいます。しかし、今の日本にとっては長年続いたデフレ脱却こそが主要テーマ。まだまだバブルというにはほど遠い経済状態です。

金融緩和で実体経済が本当によくなれば、好景気の日本に流入する海外マネーの円買いで自然と円高に転じるはず。しかし、それはまだ先の話。

また、日本国債が暴落するリスクを懸念する声もありますが、国内保有者が約90%を占め、海外でも、その多くを各国の中央銀行が保有している現状においては、悲観的過ぎる議論でしょう。

FXの投資戦略としてベストといえるのは、今年の流行語大賞候補になりそうな「いつやるか?

今でしょ」。「下がっても上がっても米ドル/円は今、買いでしょ」という状況が続きそうです。



【今月のカリスマ軍師】
上田眞理人(MARITO UEDA)
FXプライム 取締役

東京銀行、モルガン銀行、ドレスナー銀行などで為替ディーラーや外国為替部長を歴任後、現職。



この記事は「WEBネットマネー2013年7月号」に掲載されたものです。