株価が乱高下する昨今、何を参考にすればいいのやら迷うところだが、これから株式市場で物色対象となる銘柄は、どこにあるのか。かつて「LOVE WHISKY」のハンドルネームで活躍し、デイトレーダーの先駆けとして知られるファイトレードコーポレーション代表・石橋明佳氏は、TPP(環太平洋経済連携協定)関連銘柄に注目している。

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 安倍晋三首相が2月26日の日本経済再生本部の第4回会合で、TPP交渉参加をにらんで農林水産業の強化策を指示したのをきっかけに、株式市場で一気に農業関連銘柄が賑わい始めた。

 農地の集約により農家の事業規模が大きくなれば、従来よりも大型の農機需要が高まることが予想される。頭打ちの国内農機市場で、またとないビジネスチャンスと捉えられたことから、特に農機を主役とした関連銘柄が買われたのだった。

 しかし、3月15日に安倍首相がTPP交渉参加を表明し、合わせて政府がTPP参加の際の日本経済への影響を公表したことから、この流れが一転した。工業品の輸入や消費の増加で実質GDP(国内総生産)を0.66%押し上げる一方、国内の農林水産物生産額が3兆円減少すると試算された結果、農業関連銘柄に大きな失望売りが出たのである。

 だが、アベノミクス「成長戦略第2弾」で、現在1兆円の「六次産業化」市場を10年間で10兆円規模までの拡大を目指す政策などが言及され、農業関連に再びスポットライトが当たりそうだ。

 一方で、TPP参加で明らかなメリットを受ける業種は少なくない。そもそもTPPは、互いの関税をゼロにして貿易を活性化させることにより、参加諸国の経済成長を図ることが最大の目的。現在の関税率が高い国ほど不利であり、低い国は有利となる。

 日本の平均関税率をみると、農産物は約17%と高めであるが、非農産物(鉱工業製品)はわずか2.5%で、米国の3.3%より低い水準となっている。国内に大規模製造業を持つ日本は、鉱工業製品に関してTPP参加は有利に働くと考えられる。

 なかでも、輸出先の現在の関税率が高い品目を持つ業種が、TPP参加のメリットを受けるために注目となる。特に、今は世界最大市場の米国で高い関税が課されているトラックやベアリングなどが、恩恵を受ける筆頭格になろう。業界により温度差はあるものの、「国策に売りなし」という相場格言があるように、国策によるアドバンテージを受ける分野は素直に買いとみてよさそうだ。

 そうしたなかで私が注目している銘柄のひとつが、トヨタ自動車傘下でトラック国内最大手の日野自動車(東証1部・7205)だ。世界最大市場の米国において、トラックは26%という高い関税を課せられている。それがTPPで撤廃されれば、多大なメリットを受ける企業の筆頭格となるのではないか。

 2013年3月期はトラックやバスが好調で、営業利益は前期比73.5%増で着地。2014年3月期もトラック販売の成長継続と円安メリットで、営業利益は同30.5%増と前期に次ぐ最高益更新を見込んでいる。それに合わせて株価も、さらなる高値を目指す可能性はじゅうぶんある。

※マネーポスト2013年夏号