レジャー施設編

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レジャー施設編

■ アトラクション新設や季節ごとのイベント企画など 新鮮さを打ち出してリピート客の確保を目指す

経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によれば、2011年における「遊園地・テーマパーク」の売上額は、10年より7.0パーセント減少。東日本大震災の影響は、やはり大きかった。ところが、12年の売上額は対前年比で16.3パーセント増と、V字回復を達成した。例えば、12年度の東京ディズニーランド・ディズニーシーの入場者数は過去最高の2750万人に達するなど、業績好調な企業が増えている。

 

ただし、中長期的な視点で見れば安心はできない。少子高齢化により、家族でレジャー施設を訪れるという消費行動は減っていくことが懸念される。また、インターネットサービスやスマートフォン向けゲーム市場が拡大し、消費者のレジャー費・余暇時間を奪い合うライバルとして成長しているのも脅威だ。

 

そこで、各レジャー施設にとってポイントとなっているのが、「目新しさの提供」だ。例えば富士急ハイランドは、1996年に「FUJIYAMA」、2001年に「ドドンパ」、06年に「ええじゃないか」、11年に「高飛車」と、約5年ごとに大型アトラクションを増設。ほかにも、多くのレジャー施設が、新アトラクションの設置を実施・予定している(下欄参照)。また、季節ごとのイベント企画も重要。夏休み、ハロウィン、クリスマスなどの時期に合わせて施設全体を飾り付けたり、アトラクションの模様替えを企画したりする試みはますます盛んになっている。こうして顧客を飽きさせない努力を続け、リピーターを確保することが、収益を伸ばす最大のカギ。逆に、資金力が乏しくて設備投資ができない、あるいは、魅力あるイベント企画ができないレジャー施設は、淘汰される危険性もあるだろう。

 

目新しい切り口でリニューアル・新設されるレジャー施設もある。例えば、旭川市旭山動物園は、動物の行動や生活ぶりを見せる「行動展示」というスタイルを取り入れてから人気が爆発。また、香川県の直島(なおしま)で展開しているベネッセハウスは、「自然と建築と現代美術の共生」というコンセプトで作られた複合リゾート施設として、海外からの注目が高まっている。「体験型・参加型」も重要なキーワードだ。例えば、子ども向けの職業体験型施設(キッザニア東京やキッザニア甲子園)や、農業・酪農体験型施設(伊賀の里モクモク手作りファーム、サッポロさとらんどなど)などが注目を集めている。

 

外国人の取り込みを目指すテーマパークも多い。一時は年800万人台にまで増えた訪日外国人数は、リーマン・ショック後の不況、東日本大震災などの影響で落ち込んだ。しかし、12年には836万人に回復。13年に入ると、円安などが追い風になって、さらに訪日外国人数は増えている(下記ニュース記事参照)。そこで各レジャー施設には、外国語のできるスタッフの増員・園内表示の改善などの工夫が求められるだろう。また、東京の高尾山はミシュランの外国人向け日本旅行ガイド「ボワイヤジェ・プラティック・ジャポン」で、京都や富士山と並んで「三つ星」に選出後、外国人旅行者数が急増した。このように海外で取り上げられた場合の対応や、海外で話題にされるような仕掛け作りも、今後のレジャー施設には求められるかもしれない。

 

■  押さえておこう <大型アトラクションの新設で来場者を引きつけようとしている>

ナガシマスパーランド(三重県桑名市)
13年3月、ジェットコースター「スチールドラゴン2000」をリニューアル。同社が13年4月に発表した「お知らせ」によれば、最大落差93.5メートルは日本一、走路全長2479メートルは世界一だという。
東京ディズニーランド(千葉県浦安市)
13年5月、『スター・ウォーズ』をテーマにした新アトラクション「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」をオープン。立体映像で宇宙旅行が楽しめる。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(大阪府大阪市此花区)
映画『ハリー・ポッター』の世界を再現したアトラクション「ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター」を、14年後半にオープン予定。総工費は450億円と報道されている。

■ 要チェックニュース! <訪日外国人数の推移に注目したい>

・バンダイナムコグループが、『週刊少年ジャンプ』の人気作品を使用した屋内型テーマパーク「J-WORLD TOKYO(ジェイワールド東京)」を、13 年7 月にオープンすると発表。『ONE PIECE』『NARUTO-ナルト-』『ドラゴンボール』のアトラクションが楽しめるなど、大きな集客力が期待されている。(2013年5月13日)

 

・日本政府観光局(JNTO)が、13年4月の訪日外客数を、前年同月比18.1パーセント増の92.3万人と発表。10年7月(87.9万人)を4.4万人上回り、過去最高を記録した。円安で訪日旅行に割安感が出たことや、訪日旅行を促進する「ビジット・ジャパン事業」の効果などが背景にある。(2013年5月22日)

■ つながりの深い業界 <旅行・ホテル業界と協力する機会が多い>

旅行・ホテル
旅行会社・ホテルと共同でツアーを企画するなど、ともに働く機会は多い

鉄道
鉄道会社がレジャー施設の親会社であるケースも少なくない

外食
園内の飲食店は、テーマパークの魅力を高めるために欠かせない存在

 


■ この業界の指南役

日本総合研究所 副主任研究員 吉田賢哉氏

東京工業大学大学院社会理工学研究科修士課程修了。専門は、新規事業戦略やマーケティング戦略、企業のビジョンづくり・組織戦略など。製造・情報通信分野などの業界動向調査や商品需要予測も手がける。

 

取材・文/白谷輝英 イラスト/坂谷はるか