ペドロ・アルモドバル

写真拡大

 映画『オール・アバウト・マイ・マザー』のスペインの鬼才ペドロ・アルモドバルが、新作『アイム・ソー・エキサイテッド(英題) / I'm So Excited』について語った。


 同作は、スペインからメキシコに向かう飛行機の機内でトラブルが発生し、乗客が混乱する中、フライトアテンダントたちは乗客を落ち着かせるサービスを考え出すが、それぞれ問題を抱えていた乗客は人生の悩みを徐々に吐露し始めていくというコメディー作品。


 主題歌ポインター・シスターズの曲「アイム・ソー・エキサイテッド」について「子どもの頃、ポインター・シスターズの曲が好きで、ドナ・サマー、アマンダ・リアなどのディスコ・ミュージックも聴いていた。今作はある意味で80年代のトリビュート作品で、あの曲がぴったりだ。当時、独裁者のフランコが亡くなり、新たな民主国家としてスペインが変化し、個人的に当時の感覚が懐かしかった」と明かした。


 今作で、ペドロ監督初期のコミカルなトーンへ回帰したのか。「僕は監督として成長し、毎作異なった映画を提供したい。もちろん、毎作良質な作品になるとは言い難いが、本作は80年代のコミカルな映画とは違っている。それに近年ダークな題材を僕が描いていたのも、単にダークな題材に興味を持っただけだ。ただ、ダークな映画と同様にコミカルな映画も情熱を持って製作していることには変わりない」と答えた。


 機内のファーストクラスとエコノミークラスへの対応が辛辣(しんらつ)に描かれている。「確かに僕は通常ファーストクラスに搭乗するが、中身はエコノミークラスに属しているつもりだ。僕自身はかなり貧しい家庭に育ったから、そんな質素なスペイン社会の問題には共感が持てたし、ここ5年のスペイン社会の不平等に対しては疑問を抱いている」とその思いを映画に反映させたようだ。


 映画は、機内に居る個性的なキャラクターの人間模様を描き、社会の不平等さを辛辣に描いたコメディー作品に仕上がっている。(取材・文・細木信宏/Nobuhiro Hosoki)